VDS政策撤廃を、水産庁にいた小松正之さん(現在東京財団上席研究員)が述べている。
「VDS価格は08年から11年まで1日当たり1200~2500㌦。15年からは8000㌦となった。島嶼国のVDS収入は、ミクロネシアでは国家収入の約40%、キリバスでは50%に達する。うまみがあり簡単にはやめられない。VDSの負担が日本船の全支出の約2割から4分の1を占めるまでになった。」
VDSとは何か?
PNA (Parties to the Nauru Agreement)なる漁業関連地域組織がある。
メンバー国は太平洋島嶼国の漁業資源が豊かな8カ国。
ここが掲げた政策がVessel Day Scheme - VDS
漁船の入漁可能日数を管理し、値段をつり上げただけで、およそ水産資源管理とは関係のない政策である。
しかし、これで漁業資源の豊かな太平洋島嶼国は一気に収益があがった。小松氏のコメントにあるようにミクロネシア連邦、キリバスでは国家収入の半分まで占める。
私たちが回転スシで100円食べるお寿司の2、3円しか島嶼国に回らないのはアンフェアトレードである、と漁業を知らない時の私も思っていた。
しかし、漁業産業の仕組みを知ると漁船の管理、漁師さんたちの健康管理、燃料費、その他諸々、太平洋で泳ぐマグロが、私たち食卓にのぼるまで、莫大な手間と費用がかかっている。
島嶼国への入漁料が一気にあがれば、漁船の管理をしていない、また漁師を人身売買で、即ち唯同然で確保するような外国の漁業しか生き残れないのである。
さらに、入漁料が日数で制限されるのであれば、なるべく日数枠内で多くをとろうととする。よって水産資源管理としてはマイナスの政策である。
一度FFAメンバー国でもあるニュージーランドが他の方法(確かTAC)を提案したがPNAメンバー国はこれを受け入れなかった。
小松氏が、WCPFCの日本加盟に反対していたことをこの記事で初めて知った。
WCPFCは最初の事務総長Andrew “Drew” Wrightが結構上手く仕切ったのだ。
現在WCPFC機能不全に陥っていると言う。事務総長はFeleti P Teo、ツバル人である。
はっきり言おう。太平洋島嶼国の人、沿岸漁業は知っているかもしれないが、遠洋漁業、遠洋資源の事は知らない、というか知る環境にいない。
小松氏が提案する合弁会社や投資の可能性もあるかもしれないが、日本が太平洋島嶼国の海洋関連の人材を育てるしかない、のではないでしょうか?
東京財団上席研究員 小松 正之
島嶼国への投資不可欠
国際交渉で新たな枠設定を
http://blog.livedoor.jp/angler_antenna/archives/19358769.html