やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

日本海洋政策学会の第7回年次大会に向けてーThe Emergence of a Regional Ocean Regime in the South Pacific その2

前回ご紹介したBiliana Cicin-Sainさんの下記のペーパーをパワーポイントにすべく表にまとめてみた。

Biliana Cicin-Sain and Robert W. Knecht, The Emergence of a Regional Ocean Regime in the South Pacific, 16 Ecology L.Q. (1989). Available at: http://scholarship.law.berkeley.edu/elq/vol16/iss1/8

Cicin-Sainさんは、第3次国連海洋会議の時期と太平洋島嶼国が次々と独立時期が重なり、その独立国、特にフィジーが同会議でイニシアチブを取っていた事を指摘している。

そして同時期、南太平洋非核条約、漁業交渉、そしてUNEPを中心とした海洋環境保護活動も活発化し、太平洋のオーシャンレジームが形成されたと論を展開する。

時は冷戦真っ盛りである。この期間、日本は水産庁を中心にこのオーシャンレジーム形成に関わるようなのだ。ウェッブで資料を探したところ、水産庁の白書が一番詳しい。

UNCLOS採択1982年に先駆け、1977年1978年に数十カ国が200カイリを制定してしまう。

 

ところで、第3次国連海洋会議の時期、即ち70年代はカリブの英領も次々と独立を果たす。この背景にあるのは英国のタックスヘブン制度作りがあるのだ。即ち、タックスヘブンという世界金融レジームと海洋レジームは最初から繋がっていた、という事だ。

学会からは既に研究内容の焦点が定まっていない、との指摘をいただいておりこの点には触れないと思うが、現在のメガ海洋保護区が信託基金設置の隠れ蓑である事を知れば、興味深い接点である。