東大出の官僚を相手に仕事をするのは不思議だ・・
笹川平和財団の羽生会長と寺島常務。そして水産庁元次長で現在水産総合研究センター理事長の宮原正典氏である。
こういう東大出は心から尊敬し、感謝しています。
宮原正典氏に当方も色々お伺いしたい事があったのでお会いする機会をいただいた。
PEWの件である。
なぜ、米国連邦政府が、ケリー長官までがPEWにやられているのか?
米国の水産行政はどうなっているのか?
衝撃的なお話が伺えた。
知る人は知る、実は皆が知っている内容で、日経(2015年12月13日)にも掲載したばかりだという。で、このブログにも書いてよいと言うので書かせていただく事とした。
米国の水産業、台湾に乗っ取られている状態なのだそうだ。
即ち米国は便宜置籍船で船籍を台湾に売っているだけで自国産業として操業しない。
(これは中国専門家から聞いた話だが、米国と台湾の関係は特殊で台湾人に米国籍を持つ人が多く、また米国人が台湾に財産を持った場合課税されないから云々、という関係のようでもある。)
よって、外国に乗っ取られた米国水産業を守べき米国水産行政は衰退し、PEWに乗っ取られてしまっている状態。ケリー長官も思いのまま。
日本と違って官僚の出入りが激しい米国では、PEWの職員が連邦政府とPEWを行ったり来たりしているのだそうだ。
海洋環境NGO、米国政府を乗っ取るの図が見えた。
この位の気概を持ちたい、うらやましい、と思うと同時に米国政府の「危うさ」も痛感する。
さて、このPEWの資金源、動機こそが問題なのである。
言っておくが、彼等魚の事は知らない。
グローバルメディアを、ハリウッドを利用して世界の注目を集め、資金を集めるプロパガンダ組織でしかない。
その資金源は石油等のエネルギー産業界だそうだ。
上記の日経での宮原氏のコメントを下記に引用する。
「地球環境に対する意識が高まり、そこに海洋生物が取り込まれる様になった。エネルギー産業などが資源開発による環境負荷から目をそらすために保護団体に資金を提供し、クロマグロなどを標的にする政治的な動きもある」(日経2015.12.13、 11面「日曜に考える 漁業規制 魚が食卓から消える?」)
PEWは太平洋諸島全体にその手を伸ばしているそうだが、南太平洋では今のところしっかりブロックしているようである。フランス、豪州などの旧宗主国がミクロネシアに比べ、即ち米国に比べ。まだしっかりしているという事であろう。
以前ブログに書いたが、PEWの海洋保護区の活動には、信託基金の設置というタックスヘブンの可能性がある事も見逃してはならない。
それから、PEWだけではない。
Nature Conservancy, Conservation Internationalといった海洋問題を扱う環境NGOもプロパガンダ組織である。資金源にはエネルギー産業もいるのであろう。
組織のスタッフと話をするとすぐわかる。魚の事やそれに関わる国際政治の話は一切知らないのか議論ができない。結論ありきで、行動を、それもヒステリックな行動を取る。
豊富な資金源で、世界を駆け巡り、会議を開催し、人目を引くメディアリリースを行う。
小島嶼国の大統領にデカプリオを、世界のセレブを紹介し、大金をチラつかせ、バラまいて手玉に取る。
まともな海洋研究者は近づかない、と豪NZ仏の学者からの一致した見解を聞いている。(研究者は一般的にプロパガンダはやらない。)
確かにPEW, Nature Conservancy, Conservation International等のスタッフの論文を探してもあまり見つからないのだ。
これらの国際海洋プロパガンダNGOに日本はどう対処すべきか?
世界で一番魚を消費しているのに、世界の水産政策を軽視してきた日本の責任は免れない。
戦後GHQがアレンジした米国の漁業調査団報告書をやっと手にできたので、これから書く予定であるが、日本の水産業(遠洋)こそが米国における反日を、第二次世界大戦を導いたのである。さらにEEZも日本の漁業の「侵略」(このGHQ報告書(和訳文)にはこの言葉が使用されている)への対応策が起源なのである。
宮原氏は日経のインタビューで下記のように結んでいる。
「肝腎なのはワシントン条約で取引が規制されるかどうかより、現実に太平洋のクロマグロ資源が減っていることだ。資源保護は最大消費国の日本が責任を持って取り組まなければならない」(日経2015.12.13、 11面「日曜に考える 漁業規制 魚が食卓から消える?」)