やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

パラオへの中国人団体旅行禁止令(3)

パラオへの中国人団体旅行禁止令をブログに書いたところ、昨日は3千件を超えるアクセスが、一昨日は2千件を超えるアクセスがあった。

 

パラオへの中国人団体旅行禁止令 - やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

 

パラオへの中国人団体旅行禁止令(2) - やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

 

このブログが世の中に影響を与えるということは殆どないと思うが、多くの方に太平洋島嶼国で何が起っているのか、関心を持っていただけただけでも嬉しい。

 

パラオの中国からの投資の話は、決して新しい話ではないのだ。

もう5年前から同じ第二列島線上の隣の島ヤップで展開されてきた。

 

2012年の谷口智彦さんの記事。パラオと同じく第二列島線上にあるヤップの話だ。

 

ヤップ島に中国資本  大開発始めるワケ

2012年05月11日(Fri)  谷口智彦 (慶應義塾大学大学院SDM研究科特別招聘教授)

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/1859

 

谷口さんの記事から引用

「どうやら中国が望む西太平洋分割の方法論が透けて見えだした。手つかずに等しい小島嶼国に民間を装う資本を大量投下し、中国人滞在人口を増やした後、やおら政治・軍事的浸透を図る戦略か。その関心は、戦前日本に属し、今米国の保護下にあるいわゆる南洋諸島をひとつの焦点とする。」

 

ヤップは地元の人々が団結して中国の投資開発を防いだが、まだ中国人がいると聞く。

 

私もブログに書いていた。

揺れるヤップー今昔 - やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

 

当時当方の知人の米国政府関係者は、ヤップでの開発が中国の要塞に繋がる事を懸念していた。分離独立に繋がる可能性も。同じミクロネシア連邦のチューク州は昨年分離独立で揺れた。背後には勿論中国資本がいる。

 

今、南シナ海の状況を見ると2012年の時点でははっきりしなかったが、中国が第二列島線で何を企んでいるのかは明確のように思う。

残念ながら小国の政治家は目の前の利益に目がくらみやすい。お金の力は大きい。

これが民族自決の現実だ。レーニンのレトリックが太平洋の島に亡霊のように現れている。