やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

離島の離島対策

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NASAの写真。右下の環礁がカヤンゲル

太平洋島嶼国自体が太平洋の孤島、離島である。 太平洋島嶼国の中で2番目に人口が多い(約90万)

フィジーでさえ、離島対策が行われたのはバイニマラマ政権になってからではないか?

先進国の日本でさえ、隣国の脅威が目の前に来て、(自衛隊とともに)初めて与那国の海底通信ケーブルが設置され、さまざまな支援が本格化したのだ。

パラオの人口180人の離島、カヤンゲル州のニュースである。 この度世銀、UNDP, GEF, デンマーク政府等々の支援を受けて再生可能エネルギーを利用した水道の施設が設置されたとのニュースだ。 今まで水道がなかったのだ。水はどうしていたのであろうか?電気はどうなのであろう?

離島の離島は問題は、実は我々の問題でもある。 こういう困窮した島に手を差し伸べて分離独立の動きを作る可能性は十分ある。 太平洋の島々、過去に例がたくさんある。 実際、シンガポール会社による海底資源開発の話が昨年までカヤンゲル州にあり、どうやら却下されたようだ。根拠なしの話ではない。

例えば、180人の島民一人一人に1億円渡して、島全体を買い取ってしまう可能性もあるだろう。 180億円の買い物は安いのではないだろうか? パラオは一貫して台湾との外交関係を維持して来たが、ビジネス関係は中国にもオープンである。

今月新たなパラオ・中国経済交流協会が設立されている。 もし、中国がカヤンゲル州を手に入れてそこに新たな人口島ができれば、中国の第二列島線がいよいよ現実になる。 人口180人のカヤンゲル州。離島の離島対策。これもパラオ国家の主権の範囲だが、日本・米国の安全保障にも関連する可能性は充分ある。