やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

太平洋島嶼国とPKO

もう10年以上前、フィジーのイノケ・クブアボラ在日大使(現外相)から、フィジー軍がPKOに参加して得る外貨が同国の観光収入よりも大きいと伺った。

これに関するニュースもいくつか読んだ記憶があり、検索したが見つからない。

本来派遣先の平和維持が目的のこの国連の事業が、派遣する側の途上国の「収入」になっているのだろうか?という疑問を持っていた。

国際法を学ぶ環境の中で防衛省の現役の、即ち現場を知る方たちとの意見を伺う機会が時々ある。

もしやPKO派遣が派遣国しかも途上国の収入になっているのでは?と伺ったところ、「そうです。」というお答えをいただいた。想像していたが、現場の声はやはりショックだ。

それだでなく、これら途上国からの派遣軍は現地の宿営管理も日本と生活レベルが格段に違うそうである。

典型的なのが「水」。日本は綺麗な水が十分に補給され、他の派遣国に分けるほどだという。

下記のサイトは国別の派遣国のランキング, (2017年6月 30日付)である。

Summary of Troop Contributing Countries By Ranking

Police,UN Military Experts on Mission, Staff Officers and Troops 30/06/2017

http://www.un.org/en/peacekeeping/contributors/2017/jun17_2.pdf

上位10位

1. Ethiopia 8,221

2. India 7,676

3. Pakistan 7,123

4. Bangladesh 7,013

5. Rwanda 6,203

6. Nepal 5,202

7. Egypt 3,060

8. Burkina Faso 2,933

9. Senegal 2,820

10. Ghana 2,752

確かに途上国が上位を占める。他の年月日もざっと見ただけだが、同じ状況。

フィジーだけ各年の6月の数字を拾ってみた。最初の数字が順位、次が派遣人数。

2017 June

39. Fiji 643

2016 June

38) Fiji 623

2015 June

36) Fiji 624

2014 June

32) Fiji 761

2013 June

36) Fiji 425

2012 June

45) Fiji 311

外務省にウェッブによると2016年現在約3,500名(陸軍約3,200名。海軍約300名)予備役として約6,000名が待機とのこと。300-700の派遣は比率として大きいのではないだろうか?

一体どのくらいの収入になっているのか。

そしてそれは国家への収入なのか、個人への収入となるのか?

フィジーの古い知人にPKO派遣でご主人を亡くされた方もいる。