やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

トンガ貴族と麻薬シンジケート

Tongan Speaker helped drug team, say police

http://www.smh.com.au/national/tongan-speaker-helped-drug-team-say-police-20111216-1oyrg.html

より

 

豪州ビショップ外相が対太平洋島嶼国政策で取り上げた1.5トンのコカイン。

トンガ沖でフランス海軍が拿捕した。トンガには海軍があるし、法執行機関は何をしていたのでだろう?

 

この地域の専門家との夕食の席での会話。

私「1.5トンのコカインって、もしやトンガ人が関係しているのではないかしら?」

客「あったりまえじゃない。トンガ、サモアが麻薬国際シンジケートに関与しているのは有名な話。カリフォルニア刑務所の3分の一はサモアやトンガ人。みんな米国に移民してメキシコギャングの下で働くようになるのさ」

私「え、え、え〜」とただただ驚きの声しかあげられなかった。

客「モルモン教が一つの鍵でね。知ってると思うけどモルモンはポリネシア地域で強い影響力を持っている。奨学金やらなんやらで多くのサモア人やトンガ人がソルトレイクシティやハワイに行くわけ。ハワイにはポリネシア文化センターというモルモンがやっている施設があるよね。そこで犯罪に染まって行く。そして麻薬の国際シンジケートとの関係ができ、サモア、トンガは経由として利用さているんだ。」

私「そこからオーストラリアへってわけ?」

客「それが、ニュージーランドに入る量の方が大きい。」

私「なんでそんな事知ってるの?何か情報にアクセスできる特別はポジションを持っているとか。。」

客「ハハハ。関心があっただけで、凡てニュースに載ってる情報だよ。」

 

そうなんだ。このブログに書いている情報もほぼパブリックアクセスができるニュースや報告書で、私が特別な情報にアクセスできる、特別なポジションにあるわけではない。意識がどこにあるか、ないかの違い。

 

早速ウェッブサーチしてみたら、2011年の記事でトンガ貴族Lord Tu'ilakepaが南米の麻薬国際シンジケートに関与していたという記事を見つけた。

 

Tongan Speaker helped drug team, say police

http://www.smh.com.au/national/tongan-speaker-helped-drug-team-say-police-20111216-1oyrg.html

 

興味深いのはこのLord Tu'ilakepaが今年警察の腐敗を非難している事だ。2017年2月の記事。

CORRUPTION IN POLICE NEEDS TO BE EXPOSED, SAID LORD TU’ILAKEPA

Radio & TV Tonga, Nuku’alofa, 07/02/2017

http://www.tonga-broadcasting.net/?p=5604

 

パラオのレメンゲサウ大統領も過去に横領かマネロンで有罪になっているが、その後2回も再選したので驚く事ではない。小島嶼国、人材が限られているし、皆親戚、お友達なのだ。

昨年の2回目の再選は大ウソ事業のメガ海洋保護区の支援を世界中から受けた功績と言ってもいいであろう。

 

 

米領サモアで麻薬取締が強化される、との下記ニュースもこの国際シンジケートの一部なのかもしれない。

 

Reinforcements for American Samoa anti-drug unit

17 August 2017

http://www.radionz.co.nz/international/pacific-news/337373/reinforcements-for-american-samoa-anti-drug-unit

 

 

これが小島嶼国の、self-determinationの現実だ。