やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

海外まき網漁業と資源管理(一社)海外まき網漁業協会会長◆中前 明

【Ocean Newsletter】第411号(2017.09.20 発行)

海外まき網漁業と資源管理(一社)海外まき網漁業協会会長◆中前 明

https://www.spf.org/opri-j/projects/information/newsletter/latest/index.html

当方の指導教官の坂元教授が編集委員をされるようになってから【Ocean Newsletter】はしっかり読むようになった。

上記の海外まき網漁業協会、中前 明会長の記事は、水産庁叩きしかできないメディアの皆さんもしかり読んでいただきたい内容である。読むだけだったら単なる読者で終わる。ここから得た情報をきっかけに途上国の水産資源管理がどうなっているのか、とか、PNAを巡る議論を探ってから新聞に記事に自分の主張と共に書いて欲しい。

耳学問で一般読者を迷わせないで欲しい。

「水産経済新聞」2017年1月16日に掲載された中前明会長の「<年頭会見>中前明・海外まき網漁業協会長/入漁料高止まり」の記事をこのブログで紹介しようと思いつつ忘れていた。上記の【Ocean Newsletter】の内容とほぼ同じである。

要はPNAが進めるVDSは単に入漁料を値上げしただけで、水産資源管理とは関係ない事。さらに漁船の管理、漁師の労働条件をしっかり守る日本水産業にとって値上がりは死活問題で、法や人権を守らない途上国や近隣の漁業に有利な状況を作っているのだ。こんな基本的な情報も精査せず、PNAを持ち上げるNGOやメディアばかりなので、一人、頭を抱えていた。

加えて、このブログで書いているように、違法操業しているのは途上国や島嶼国だし、水産資源の科学的データを持っていないどころか、理解できないのである。

なんとなく、弱者、小国は犠牲者で、悪い事はしない、と思っている人が多いのではないだろうか?

世の中、そんなに甘くないのだ。