やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

Dr Berginの提案パラオで叶う(2)

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RMCCを提案した豪州のDr Anthony Bergin. 

完成間近のパラオのセンターは彼の提案である。

 

<無知な有識者たち>

ミクロネシア地域で何か事業を始めるのであれば「パラオ」と言うのは現地を知る人の常識なのだ。しかし、外交上そんな事は口に出して言えないし、ましてや報告書にも書けない。

前回書いたsubRMCCは当然パラオに設置されるようミクロネシア3国と調整すべきところ日本の「有識者」を称する方たちが

「 EEZが一番広く、真ん中にあるミクロネシア連邦に置くのが当然でしょう。」

と主張しミクロネシア連邦に設置する方向で検討が始まった。

私はこれに強く反対したが、羽生さんに無視された。しかし。。

 

<結局パラオに>

何が羽生さんの判断を変えたのかは知らないが、急遽センターの場所をパラオに、と言う話に。これも現地事情を知らない財団幹部が、ミクロネシア連邦の「大臣」を呼びつけて財団の決定に従えとやったことから一気に外交問題に発展した。

たまたまそのミクロネシア連邦の大臣が当方の長年の友人だった事もあり、尻拭い作業をすることとなった。確か中東にいた羽生さんから直接電話をもらって色々と指示をいただいた事を覚えている。

ここら辺からミクロネシアの地域協力枠組みもギクシャクし始めたのである。

 

<至福の一瞬>

一つの大きな事業が進む時に、こんな裏話は山とあるであろう。

こういった事の積み重ねなのだ。

何度も諦めた案件である。

それが消えずに具体的な形になる様子を見るのは、あの時四面楚歌になっても反対意見を述べてよかった、とか、あの時尻拭いという汚れ役のような事を引き受けてよかった、と思える至福の一瞬である。