ハウスホーファー*がマレイポリネシア族、すなわちオーストロネシア語族の状況をもっとよく知っていれば、ゾルゲやヒトラー、スターリンに悪用されていなかったかもしれない。
しかしオーストロネシア語族の研究が進んだのは戦後なので、無理な話ではあるが。 (*ハウスホーファーはマレイポリネシアのインド太平洋拡散を基盤にインド太平洋論を展開していたようなのである。そして日本もこのマレイポリネシア族(現在はオーストロネシア語族という)に入っているという説をフンボルトが言い始めたようだ。ここはこれから読み込んで行きます。)
安倍総理のインド太平洋戦略。その起源を探る論文が色々出ているがドイツの地政学者カール・ハウスホーファーに触れた論文もある。しかしそこにはハウスホーファーの地政学が、そしてインド太平洋論が、日本とのまたオーストロネシア語族をベースに議論されている事まで書かれていない。 多分、肝心の安倍総理も知らないはずだ。
インド太平洋の海を結びつけたのは3千年前の海洋民族、オーストロネシア語族なのだ。多分台湾の海洋民族ではないか、と言われており、言語学者崎山理教授はオーストロネシア語の日本への影響を主張している。 オーストロネシア語族の植民、拡散は半端ではない。世界の秩序を安倍政権より3千年も早く変えたのである。それは。。
バナナと薩摩芋! 今、アフリカにバナナがあるのはオーストロネシア語族が数千年前にアジアから持ち込んだからだ。 今、ニュージーランド(アオテアロア)に薩摩芋があるのは、オーストロネシア語族が南米まで行って持って帰ってきたからである。 これぞ、自由で開かれたインド太平洋。 オーストロネシア語族のインド太平洋戦略は南米からアフリカまでカバーしているのだ。 そしてバナナと薩摩芋の存在は食の安全保障、人口問題などに与えた影響は計り知れないはずだ。
参考文献 Malcolm Ross, On the Origin of the Term "Malayo-Polynesian", Oceanic Linguistics, Vol. 35, No. 1 (Jun., 1996), pp. 143-145