やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて30年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

島サミット特集:フォローアップ提言

前々回の第6回島サミットに「海洋問題」と「米国の参加」が入ったのは私が提案したからである。当時の大洋州課課長(確か飯田さん)がわざわざ連絡をくれたのだ。

(具体的に書くと笹川会長の名前で、財団として出したかったのだが、当時の国交省元審議官の羽生会長が「そんな事しても無駄ですよ」と相手にしなかったのだ。)

その時は「これで私がやることはない」放っておいたら何も始まらなかった。今回はそのことを反省し、しっかりフォローすることとしました。

下記を官邸に提出しました!

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この度は第8回太平洋島サミットのご成功、心からお祝い申し上げます。

1997年の初回島サミットから関与・観察させていただいていますが今回の島サミットは戦後日本の太平洋島嶼国政策を大きく変え、まさに「樋口レポート」に渡辺昭夫教授が盛り込んだ新たな日本主導の多様な安全保障体制が浮き彫りにされたと存じます。

当方は2008年に笹川平和財団ミクロネシア海上保安事業を立ち上げ現場で米豪始め関係諸国との協力関係を構築してきました。昨年は島嶼議連、海洋議連で講演する機会をいただいた事をきっかけに国内外のメディアにも積極的に太平洋島嶼国の海洋安全保障の重要性を主張してきました。

ここで我が国が取るべき次の一歩として、今回の島サミット首脳宣言で合意された海洋安全保障支援を、日本が世界に誇る海上保安庁だけでなく、海上自衛隊水産庁の合同で進める事を提案させていただきます。

日本の海上保安庁の優秀さは否定しませんが、水産庁が担当する遠洋水産資源管理、防衛省が把握する国際的安全保障に関しては海上保安庁の知識・認識に限界がある事を現場で観察してきました。しかし海洋安全保障の実態は複雑で日本の省庁間縦割り行政がマイナスになっていることは否定できません。豪州など英国系の国では海軍が違法操業など法執行分野を主導し、沿岸警備隊保有する米国も海軍と常に合同で活動しています。即ち軍事と法執行が同じ組織で、または表裏一体で行われているのが実態です。具体的には中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)の公海監視制度では米海軍軍艦100隻以上が違法操業監視のための「法執行船」として登録していますが、日本は水産庁取締船3隻だけです。

今回の島サミットで北朝鮮と太平洋島嶼国の便宜置籍船の件が初めて指摘されました。太平洋では密輸を含むあらゆる越境犯罪が行われておりこれは米豪海軍が情報を把握する範疇です。日本の自衛隊を米豪海軍に派遣し情報収集及び協力関係を構築することは急務と考えます。

今後はインド太平洋の海洋安全保障に関連し、海上自衛隊海上保安庁水産庁、外務省、法務省が合同チームで情報収集、現場視察、合同訓練に参加するなど現場の多様な安全保障の現実を認識し、国内の省庁間の協力を促進することが必須と考えます。これは先般閣議決定された第3期海洋法基本計画が進める省庁間の協力と一致します。

安倍政権のインド太平洋戦略が具体性を持って推進される事を祈念しております。