やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

30億円の基金を任されて(8)

30億円の基金の立ち上げに躓いて、それを26歳の私に「自由奔放にやってくれ給え」と丸投げしておきながら、信じられない話だが何のサポートもないどころかすぐにセクシュアルハラスメントが総務部長だったか課長だったか宮本という人から受けた。

財団の飲み会に参加したところ、私の腿を触って来たのである。ゾッとして、サッと逃げた。

二度と財団の飲み会に参加しなかった。

お酒の席の話である。翌朝気まづい思いを宮本という男はしているだろう、と思ったが違った。

「早川さん、今日は昨日と同じ服だね。彼氏の家にお泊まりかな?」

一瞬その意味がわからなかった。この男のセクシュアルハラスメントはお酒の勢いではなく、芯からのものだった。最初私が担当する島嶼基金の室長か何かを兼務していた。それが外れた頃だったように思う。復讐したかったのだろうか?

太平洋島嶼国に関しても、事業内容に関しても何も知らず、話し合った記憶がない。私がサクサクと事業を進めていることは面白くなかった様子だ。事業に付いて来れなかったのは誰の目にも明らかで、島嶼基金から外れて、長尾さんという国連かどこかで開発を担当していた方が室長になって、やっと島嶼基金の事業がまともに進むようになったのだ。

ただ長尾さんも太平洋島嶼国の事は何も知らず、事業の方向性を相談するだけだった。島嶼基金の日本の基盤を八重山諸島で展開する事になったがきっかけは長尾さんから日本の離島開発の記事を紹介された事がきっかけだ。これもサクサクと日本の離島を巡りながら自分で開拓していった。

もちろんセクシュアルハラスメントはなかったので地獄から天国に来た気分だった。