やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

マルタと海洋秩序、そして北朝鮮

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マルタのムスカット首相が来日。安倍総理と海洋秩序について会談したとのニュース。

マルタと言えば、北朝鮮マネーロンダリング、便宜置籍船ビジネスと「法の支配に基く海洋秩序」という言葉に違和感を覚えてしまう国家だ。怪しい主権ビジネスを展開する典型的な小島嶼国である。

下記の2016年の記事ではマルタが北朝鮮労働者を追放した事が書かれており、ちょうどその1年後の昨年安倍総理はマルタを訪問しているのだ。

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マルタと言えば、実は海洋法の父パルド大使の国だが、パルド大使が提案した「人類共通の財産」を海洋ガバナンスに応用した案は、新興途上国にズタズタにされた。「深海底制度実施協定」で有り200海里の制度だ。即ち広大な海洋を囲い込み、途上国優先の政策である。

マルタ政府自体もパルドの時代が終わり、海洋法が制定される頃はマルタ政府は違う政権となり、海洋法への関与はほぼなかった。

マルタと言えば、海洋秩序とほぼ関係がない、というか問題の多いと思われるOur Oceanという会議を主催している。これは米国の環境団体、マレーシアの1MDBにも関与した金亡者セレブのデカプリオ、そしてトランプ政権に葬り去られた海洋法を作ったオバマ政権が始めた会議だ。実はこれを我が国の第3次海洋基本計画に盛り込んでいるのだ。我が国の内閣官房総合海洋政策本部は大丈夫だろうか?

安倍政権は気がついたらしい。両首脳記者会見ではクロマグロをもっとマルタから輸入しようと話が出ている。

「マルタが日本の養殖クロマグロの輸入元世界第2位」

これは知りませんでした。

 

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