EHカーの『ナショナリズの発展』を再度図書館に借りに行ったら隣にあった本である。10年ほど前に一度読んだ。著者は英国外交官でピアニストの内田光子さんのパートナーなんだよ、と知人が紹介してくれたのだった。内容は覚えていない。
序文の次に「日本語版への序文」というのがある。20頁近い長さだ。これも覚えていなかった。
そこにここ数週間読んできた、玄洋社と頭山満関係するの記述があった。「玄洋社」「頭山満」という言葉は出てこないのだが日本がロシア革命、レーニンの10月革命を導き、孫文を育てた。クーパーは「大日本帝国成立は、帝国主義崩壊の端緒になったとも言えるのである。この問題は、今なお20世紀歴史研究の大きなテーマとなっている。」(14頁)と書いている。「20世紀歴史研究の大きなテーマ」であるという認識は日本人にあるのか?
玄洋社と頭山満を読んでいると今の中国とロシアを作ったのは日本ではないか?具体的には玄洋社と頭山満ではないか、と思ったのだ。しかし両国には頭山満が守ろうとした天皇のような存在はなかった。
第二部「平和の条件」はEHカーの書籍のタイトルである。
ここに戦後米軍が人類学者を日本に派遣に研究書を書かせているとあって注を見ると「菊と刀」なのだ。え!ベネディクトは日本語もできないし日本にも来ていないはずだが。。内田さんはクーパーにどんな日本を伝えているのであろう?
この本が出版された2007年頃は中国の台頭が噂された時期ではなかったか。今の政情をクーパーはどう分析するのだろう?