やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

後藤新平の植民政策(11)植民政策一班

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写真は12,000円で売られている古書。大正10年拓殖新報社発行 

 

後藤新平の「植民政策一班」をメモして行く。中村哲の解題によるとこの「植民政策一班」は大正三年幸倶楽部での講演に、2、3の資料を付加して発表されたものだという。中村氏によれば「植民地統治はいかにあるべきかを記したもの」(3頁)だという。

以下の3章から構成されている。

第一 緒論及び日本植民政策の史的経済的関係

第二 帝国満州における特殊の使命

第三 植民政策の基礎となるべき間接設備の効用

 

私が後藤新平の植民政策に関心を持ったのは、矢内原忠雄の南洋群島の研究を発端に、矢内原の師である新渡戸を読み始めたのがきっかけだ。日本財団幹部の鳥井啓一氏から呼ばれ、不愉快なセクハラを受けながら、後藤新平を紹介されたのだ。女性と正面にコミュニケーションが出来ない男性なのであろう。気の毒な人であると同情しているが、誠に不愉快な経験であった。

さて、藤原書店から現代語に編集された後藤新平全集は読みやすかった。後藤研究殆どされていない事も知った。鶴見本と言われる後藤全集にはない(全部読んでいないので確証はないが)玄洋社やカール・ハウスホーファーとの関係なども知った。36頁のドイツ語で書いた博論があることも。。

エクスキューズになるが、矢内原、新渡戸、後藤は私にとって研究の対象から少し外れて背景の情報収集のレベルである。彼らを研究するには相当な歴史的知見が必要であるから、と想像するからだ。現在研究している海洋法の範囲で言えば小国の自決権を扱うのでその関連として3者の植民政策が繋がっている。

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