やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

再読 駄場裕司著『後藤新平をめぐる権力構造の研究』(追記修正あり)

頭山関連の書籍を3冊読んで駄場裕司著『後藤新平をめぐる権力構造の研究』を再読した。以前より面白く読めたし、少しわかるような「気」がした。

以下、当方の理解と想像。(追記修正しました)

右翼に分類される黒龍社は、玄洋社は、ロシアの、ひいては欧州の帝国主義崩壊に影響を与え、意図しなかったとしても共産主義国家の形成に関与したのだ。そこに後藤新平もいた。杉山茂丸の存在の方が大きいようだが。頭山、後藤、杉山は共産主義が何かわかっていたのであろうか? 頭山は、玄洋社は大アジア主義地政学的に論じたのではなく任侠心、特に英米の人種差別を伴う植民地主義に義憤を感じて進めようとしたのではないか?そしてそれは英米を必ずしも敵としなかった薩長に、長年の恨み辛みも重なってさらに対抗する構図を「民権運動」と共に作ったのではないか?他方で、五箇条の御誓文の下で(肥後熊本藩の安場保和の影響を受け)両者は微妙なバランスを保てたのでは(もしくは伊藤の暗殺を招いた?)?

とろこで「植民」だが、新渡戸によればアレキサンダー大王のインド植民はギリシャ兵にインド女性との結婚を奨励し予算までつける政策。(日本の仏像彫刻に繋がる)英米の人種差別とは全く違う政策だった。

それからロシアに柔道の道場を置いた黒龍会内田良平。一体どんな活動をロシアで展開し、影響を与えたのであろうか?多分その人脈は日本政府とは比べものにならないほど強かったのだろう。今パラオの柔道キッズ支援をしているが確かに人脈がどんどん濃くなっている。こちらが意図しないのに知りたくない情報がどんどん入ってくるのだ。

元々の当方の関心はドイツの地政学ハウスホーファーのインド太平洋構想がもしかしたら後藤新平からの伝授ではないかという想像から、そうであれば「大アジア主義」だ、と思って知りたくなったのです。

頭山や近衛文麿(父近衞篤麿も)が嫌った英米は、ドイツにとっても、特に第一次世界大戦後は憎むべき国であった。ハウスホーファーを読んでいると一頁一頁に植民地を奪われた恨みが伝わってくるのです。結果、ドイツと日本は同じ敵を得た、ということか。しかも共産主義も共通の敵となり、南洋権益も共通の利益となり。しかしそんなドイツこそ優生学の先端にあったことは皮肉だ。

 

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