1979年の海上における捜索及び救助に関する国際条約
http://www.houko.com/00/05/S60/005.HTM
International Convention on Maritime Search and Rescue
https://treaties.un.org/Pages/showDetails.aspx?objid=08000002800d43b3
平成11年版海上保安白書 第2部 第9章 海上保安に関する国際活動 より
(4) アジア太平洋地域における捜索救助(SAR)体制の確立
近年、IMO等において、国際的な捜索救助体制を確立するための努力が続けられている。
「1979年の海上における捜索及び救助に関する国際条約」(SAR条約)(昭和60年6月我が国について発効、10年12月末現在締約国数60か国)は、海上における遭難者を迅速かつ効果的に救助するため、沿岸国が自国の周辺海域において適切な海難救助業務を行えるよう国内制度を確立するとともに、関係国間で協力を行うことにより、究極的には、世界の海に空白のない捜索救助体制を作り上げることを目的とするものである。
我が国は、同条約の勧告に基づき、船位通報制度を導入したほか、ヘリコプター搭載型巡視船の整備等国内的な捜索救助体制の充実を図る一方、隣接諸国とのSAR協定締結等により国際的な協力体制の確立に努めている。
今後ともSAR条約締約国の捜索救助機関との連携を深めていくとともに、非締約国に対しても、SAR条約への締結促進の働きかけを行い、IMOの活動を支援するなど、世界的な捜索救助体制の確立に向けて国際的な協力を強力に推進していくこととしている。
ア 隣接国とのSAR協定
SAR条約は、締約国に対して、関係締約国及び隣接国との間で捜索救助区域の設定、捜索救助に関する適当な措置について合意をするよう要請している。こうした捜索救助に関する協定の締結等により、お互いの責任分担が明確になるとともに、捜索救助に関する協力が促進され、効率的な捜索救助が可能となる。
このため、我が国は、米国との間で、昭和61年12月に「日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の海上における捜索及び救助に関する協定」(日米SAR協定)を締結し、我が国が捜索救助活動の調整に関し必要な責任を負う捜索救助区域として、本邦から1,200海里に及ぶ広大な海域を担当することとなった。さらに、元年1月に海上保安庁と米国沿岸警備隊との間で具体的な協力方法等について定めた「日本国海上保安庁とアメリカ合衆国沿岸警備隊との捜索及び救助に関する協力のための指針」を作成し、日米SAR協定の円滑な実施を図っている。
なお、日米SAR協定については、10年9月の改正により、これまで日米双方の捜索救助区域として重複していた北緯17度から21度までの海域について、日本の捜索救助区域とすることとなった。
ロシアとの間では、昭和31年、旧ソ連との間に締結された「海上において遭難した人の救助のための協力に関する日本国とソビエト社会主義共和国連邦との間の協定」(日ソ海難救助協定)に基づき捜索救助に関する協力を行ってきたところであり、6年7月には「海上における捜索及び救助に関する日本国海上保安庁とロシア連邦運輸省海運局国家海洋救助調整本部との間の協力のための指針」を作成し、両国間の協力の一層の促進に努めている。
また、韓国との間では、2年5月、SAR条約の趣旨に沿った「日本国政府と大韓民国政府との間の海上における捜索及び救助並びに船舶の緊急避難に関する協定」(日韓SAR協定)が締結されているが、7年9月に韓国がSAR条約に加入したことを踏まえ、今後、捜索救助に関する両国のより一層の協力を図ることとしている。
なお、中国との間においても、SAR協定を締結するため実務者による協議を行っている。
3.1.9 Parties shall co-ordinate and co-operate to ensure that masters of ships providing assistance by embarking persons in distress at sea are released from their obligations with minimum further deviation from the ships ́ intended voyage, provided that releasing the master of the ship from these obligations does not further endanger the safety of life at sea. The Party responsible for the search and rescue region in which such assistance is rendered shall exercise primary responsibility for ensuring such co-ordination and co- operation occurs, so that survivors assisted are disembarked from the assisting ship and delivered to a place of safety, taking into account the particular circumstances of the case and guidelines developed by the Organization. In these cases, the relevant Parties shall arrange for such disembarkation to be effected as soon as reasonably practicable.