やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

『ドイツ植民地研究』栗原久定著 (読書メモ)6・7章

6・7章は太平洋諸島と膠州湾。

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太平洋諸島は知っている地域なだけな疑問に思う箇所が多かった。引用資料が示されていないので確認できないが、特に価値判断の箇所は誰かの見解なのか、著者の理解・見解なのかが示されると良いと思った。

具体的にはヤップの海底通信などはドイツは米国と対抗したのではなく組んだのではないか。だからこそワシントン会議のヤップ協定は同会議の主要議題であった。そして日本の統治で島の人々の生活が悪化したと書く根拠が示されていないのが残念だ。色々な見解があって良いと思うがその根拠は重要だ。

膠州湾の章も日本との関係で疑問に思う箇所があった。特に玄洋社関連を読んできたので中国への日本の影響と言うのは少なくとも押し付けではなく、中国から日本に留学生が何千人と押し寄せ来たのでそれに応えただけではないか?

ドイツの植民を網羅した大作なので全てに完璧と言う訳にいかない。また全ての文章の引用先を示すことも難しいのだろうが、逆にこれだけの大作なので、引用先が示されると検証ができ、さらに有効な資料になると思った。