安倍談話は早くから注目していた。
今でこそ技術が発達し、太平洋を取り囲む先進諸国は、途中給油の必要もなく広い太平洋を一跨ぎで飛び越えられる。
しかし、戦前は船の燃料や食料の補給基地、通信回線の中継基地として、太平洋の小さな島々は重要だったのである。だからこそ、当時ドイツ領で通信回線中継基地のあったヤップが日本統治下になって、同通信回線を共有していた米国は烈火の如く怒り、ワシントン会議を開催したのだ。(ヤップ協定という)
そして、実質日本の植民地となった旧独領のマリアナ諸島と現在のミクロネシア3国の関係がある。
まさに、安倍談話で話題になっていた「侵略」「植民」の地である。
(はっきり言っておくと侵略ではなく、ベルサイユ条約での国際合意があって日本が信託された地である。また次回書くが日本の植民は新渡戸稲造、矢内原忠雄がアダムスミスに倣いながら理論を構築したもので、西洋の過去数百年世界中で展開した「搾取、侵略、殺戮、奴隷、拷問 etc」の植民とは違う。)
今年の天皇皇后両陛下のパラオご訪問では、パラオの親日ぶりを伝えるニュースばかりであったが、日本統治下、土地を失ったり、戦争の犠牲となったり、日本人(移民は80%位が沖縄人だったようだが)に虐められたりしたパラオの人々もいたのである。そして天皇皇后両陛下訪問を控え反日の声をあげるグループもあったのだ。
当方はパラオのFBでそのような声を目にし、一人応戦したところ、多分パラオ在住の米国白人にそのグループから追い出されてしまった。
東京裁判史観がある程度、無知な米、豪人によって太平洋の島々にも浸透しているのだ。
だからこそ、安倍談話は太平洋島嶼国で活動する当方にとっても重要であった。
日本国、日本政府の見解として拠り所となる。
日本が太平洋島嶼国に本格的進出した第一次大戦こそが重要なのだ。
日本海軍がANZAC(豪NZ)を、太平洋島嶼の島々を、ドイツから守ったのだ。その代償としてミクロネシア諸島を統治することとなったのである。
この歴史的背景を勉強し出したのは昨年2014年の同戦の百周年記念がきっかけであった。
太平洋島嶼国で25年も働いていて、勉強しなかったのは猛省すべき事だが、素晴らしい出会いがあった。平間洋一先生の本である。
第一次世界大戦で日本が、豪州ニュージーランドを守ってあげたにも拘らず、同国が反日排日の動きに出たのは、基本は人種差別だが(悪名高きヒューズ首相を参照)、日本が2つの大戦ー日清戦争、日露戦争で勝利したことが脅威となっていのだ。豪州の汚名ともいえる「白豪主義」(1901-1973)はまさに「日本に来て欲しくない主義」だったのである。
平間先生はこの日露戦争が世界に与えた影響を本にまとめている。
日露戦争の事なんてこの年になるまで何も知らなかった。
この戦争が、日本が、世界の秩序を壊したのである。
日露戦争が変えた世界史―「サムライ」日本の一世紀
日露戦争での日本の勝利が、世界の西洋植民地で搾取され、奴隷にされていた人々を目覚めさせたのだ。日本に押し寄せるアジアの若き政治指導者達がいた。
そればかりか米国の黒人運動も日露戦争の日本の勝利に起因するのだ。
安倍談話の冒頭にこの日露戦争が世界に与えた影響を述べている。
今後国民として積極的に宣伝広報していきたい。
しかし、、
アジアの政治指導者を支援しようとしていた日本は同時に英米との協調路線も模索していた。
日本が支持する民族自決への動きや人種差別撤廃の提案は、英米諸国が数百年に渡り植民地を搾取する形で築いた「帝国」の崩壊にもつながる。欧米諸国にとって許しがたい行動であった。
加えてウィルソンはこの民族自決を全く別の方向に、即ち米国の利益のために利用する。第一次世界大戦に積極的に参加していなかった米国は植民地の取り分がなかったのだ。
手元に資料がなく確認できないが、ウィルソンは欧州の民族の数を知らなかったそうである。
欧州に小国が誕生し領土問題が発生した。この解決に奔走したのが新渡戸稲造、当時の国際連盟事務局次長である。
次回には新渡戸稲造、矢内原忠雄の植民論と安倍談話をまとめます。