やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

後藤新平の植民政策(8)

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 後藤新平の植民政策は昨年6月に少し読んで7回ブログに書いた。そして力を使い果たしてしまった。それに背景が色々わかっていないと読んでも理解できない事を痛感した。この1年ハウスホーファーを読み、玄洋社を読み、、以前よりは若干背景が理解できるようになった気がする。そこで「後藤新平の植民政策」再開したい。

後藤の植民政策に関する先行研究があるだろうとこの1年探したのだが見つからない。植民学の研究者にも会ったが後藤の名前を出しただけで「阿片の後藤」という反応しかされないのだ。私はアマルティア・センの開発学を博士論文で扱ったので後藤とセンが十分に重なって見えるのだ。鶴見和子さんの「内発論」は多分後藤新平の影響だ。

今回は中村哲氏の解題が掲載されている『「日本食民政策一班」と「日本膨脹論」』を少し丁寧に読んで行く。古書で見つけた同書を最初に読んだ時は線を引きたくなる箇所がたくさんあったのだが、今回はコピーを取ったので思いっきり線を書き込んでいる。

中村哲氏が何者なのか?なぜ彼が後藤のこの2つの植民政策の本を戦争中に編纂し、出版したのか?その事から書き出したい。