やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

東京帝国大学植民政策講義(6)新渡戸博士の講義 第一章輓近植民思想の勃興

第一章 輓近植民思想の勃興

 第一項 動揺(motion)の法則

 第二項 種族の興廃

 第三項 国家勃興の反動

 第四項 輓近植民思想の勃興

 

ここで言う輓近とは西洋諸国の植民の動向を概観している。

第一項 動揺(motion)の法則 では国家膨張の周期を

第二項 種族の興廃 

ヨーロッパの各種族の植民の歴史を概観。スペインが世界に覇を称えたのは回教徒、ムーア人の文明=海洋技術による。

第三項 国家勃興の反動 

しかし欧州で先に栄えたスペインは宗教熱心のあまり、その原動であったムーア人を迫害し、先に衰えたのである。当時植民地には犯罪人を送った。犯罪人のいる植民地は発展しない。豪州も刑罰植民地であることを止めて初めて発展した。フランス革命もあり、18世紀末から19世紀中旬まで西洋諸国は内政改革を優先。

第四項 輓近植民思想の勃興 

西洋の植民は1870年頃から交通技術の発達を、人口の増加、資本の増加などが理由で再び勃興した。アフリカではダイヤモンドが、豪州では金が発見され植民の原動力である富への欲望が刺激された。

イギリスでは植民地改良論者の学者が民権思想を植民地の貧民共済に応用し中流以上の思想を啓蒙した。すなわち一方では金の力が大衆を動かし、他方で学者の民権思想が世論に影響を与えたのである。(ここら辺はニュージーランドの植民が、豪州、米国に比べ人道的(であろう)とした背景ではないか)

1870年代80年代の植民思想の勃興で、西洋諸国は植民地獲得を最大国是とするようになった。すなわち富への欲望と、植民地の貧民救済ということか。

最後に新渡戸が西洋諸国と日本の植民地面積の数字を出している。時期が書いていないが新渡戸の講座が大正元年頃であったというから1910年頃の数字であろう。もし新渡戸がエクセルを知っていたら狂喜するに違いないと思ってグラフにもした。

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