やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

日本の植民政策と「季刊三千里」

f:id:yashinominews:20190917144100p:plain

 テレビがないので朝は虎ノ門ニュースを流しているが先日西岡力先生の出ている番組で、韓国の反日の動きが日本で作られたと言う話を聞いて思い出したのが「季刊三千里」と言う雑誌である。

【DHC】2019/9/16(月) 田北真樹子×西岡力×居島一平【虎ノ門ニュース】 - YouTube

 

 数年前、台湾のことを学ぼうと知り合いの台湾研究者に、まずは何から手をつければいいか聞いたところ、「矢内原忠雄「帝国主義下の台湾」精読 」(岩波現代文庫) を推薦された。編集を台湾研究第一任者の若林正丈氏がされていると言う。

 私は数ページ読んで思わず投げ捨てた。「なんだ矢内原の植民政策論を全く知らないで書いている。何が精読だ!」と。紹介してくれた友人にも文句を言ったら友人は

「そう?おかしいなあ。若林正丈さんは台湾研究ではかなり知られている人なんだけど。」と。

 その後、若林正丈氏は台湾政府からも表彰されるような偉い方であることを知り、私の読み間違いだろうと反省し、気になっていたが前日読み直すことができた。今度は冷静さをもって読んだがやはり矢内原を、日本の植民政策を誤解している。参考文献を見ると金子文夫氏の「日本の植民政策学の成立と展開」とい論文(だけ)を参照している。そこでこの論文を探した。「季刊三千里」と言う雑誌に掲載されており、同志社大学の図書館にあった。

 韓国の反日のことをまだ薄っすらとしか知らないのだが、和田春樹さんとか本田勝一とか、あとは韓国人の執筆者で埋められている雑誌だった。

 「季刊三千里」はウィキにも掲載がある。1975年から1987年まで発行されていて、「朝鮮民族の念願である(中略)「統一された朝鮮」を実現するための切実な願いがこめられ(中略)在日韓国・朝鮮人が主体になって執筆・刊行」とある。

 若林正丈氏はここに掲載された金子文夫氏の論文を参考にして矢内原の台湾植民論を「精読」したのだ。「季刊三千里」(41号、1985年、特集日本の戦後責任とアジア)に掲載された金子文夫氏の論文は、新渡戸、矢内原の植民論を4、5年読み込んできた私にとってはとても受け入れることのできない内容であった。

 問題は、こう言う立場の植民政策論が世の中の主流であることなのだろう。

 

 脱植民地化、自決権、は共産主義の、レーニン、スターリン、フルシチョフの政策、イデオロギーなのだ。