やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

猫組長著『暴力が支配する一触即発の世界経済』

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 猫組長には一度お会いしてご教示を頂きたと以前から思っている。

「ネコノミクス宣言」に続いて2冊目は「暴力が支配する一触即発の世界経済」を拝読。一気に読んでしまいました。それにしてもトランプ政権の恐ろしさよ。

 この本にも太平島嶼国の「た」の字も出てこないのだが、米露が展開する黒い経済こそ太平島嶼国がその場を提供していることを容易く想像させる内容だ。

 先月訪ねたバヌアツで発生した中国人によるスキャム犯罪ーPlustokenの犯罪と強制送還、そしてパスポート販売ビジネスのことをこれからまとめようと思っているが、本当の黒い経済はこんなものではなくて、米露の大統領やマフィアが関わっているのだ。 実はその実態も目の前で見て来た。だから200%頷ける。

 そんなアンダーグラウンド活動に法執行能力が「ほぼ」ない太平島嶼国はうってつけの場所。さらに国連決議1514号で保障された「自決権」から得られた小国の「主権」こそこの世界中の黒い活動を完璧に執行し、守るシステムなのだ。

 そのことを、英米露は知っているし利用して来た。そのために小国が独立させられた側面すらある。そしてここに中国も参加して来たのだ。

 日本もパラオで展開された豊田商事事件が有名だし、今でも日本の企業や、外務省の元大使まで関わっている。 

 

 私が、国家をアクターとする国際的動きに「ヤクザ」的なものを感じたのはアセアン諸国と太平島嶼国の現場を見て来たからだ。それが確信になったのはインターネット上で多くの情報が得ることができ、裏取りができるようになってからだ。

 太平島嶼国と関係のある海洋プラシチック問題や、ブルー・エコノミーなどは海洋環境や、太平島嶼国の開発に関係ないどころか、猫組長が書く「黒い国際金融」そのものである。猫組長は国連の、特に途上国開発をめぐるお金の動きもご存知であろう。

 やりきれないのは「環境保護」や「開発」の美名の下に見捨てられる子供たちである。来年Our Oceanという会議を開催するパラオ。海洋保護という美名の下で行われているのは信託基金などの集金システムだ。他方でリーダー達が麻薬を入手し子供達を中毒にさせ、売春を強制している現実を政府はメディアに圧力をかけて蓋をしてしまう。 

 そもそもこのOur Oceanという会議はオバマ政権下、デカプリオやPEW財団が立ち上げたまさに黒い経済の一環で、海洋環境の科学的議論がゼロである。

 太平島嶼国が唱えるブルー・パシフィックはまさに世界の金亡者達の「黒い海」である。