やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

読書メモ “Sentimental Imperialists” Thomson, Stanley, Perry

 昨日書いたブログでちらっと書いた“Sentimental Imperialists”。 本当はしっかり読みたいのだが、来週から後藤、新渡戸、吉野作造の足跡を訪ねる旅が迫っていて一旦返却することにした。 それでももう少しメモだけ残しておきたい。いつか読もう、と思って忘れてしまっている本が山のようにあるから。

 1981年に、3名の著者によって書かれた本である。日本と中国に比重が置かれている。中国はThomson, 日本は Perry, フィリピンはStanleyの専門分野だ。3名とも大学で東アジアを教えているが、適当な教材がなく、3名のアジアでの経験を生かした本を書くこととした。2人は米国政府で、ワシントン、アジアに滞在した経験がある。米国人のアジアに対する無理解は高くついている。朝鮮戦争、冷戦、ベトナム戦争がそれだ。

James C. Thomsonは中国で育ちホワイトハウスで1961−1966年の5年間中国政策を担当。(ケネディ、ジョンソンの時代。ベトナム戦争に反対して政府を去る)

Peter W. Stanleyはフィリピン米国関係を専門にし、米国の極東拡大について関心を持つ。

John Curtis Perry は日本で滞在経験があり、フレッチャースクールで法と外交を教える。

 

 馴染み深い(でも専門分野ではない)IPRやマカーシー、ラティモア、マカランのことが書かれている箇所があった。James C. Thomsonが書いたのであろう。ラティアモアを擁護し、マカーシーを中国のことを何も知らないで酷いことをした、と批判している。このThomsonが何者かサーチしたら面白い結果が出てきた。

 下記のAmerican Historical Association には、1931年南京で生まれ彼の家族は南京事件の被害者で、母親はパール・バックの知り合い、お隣さんであった書いてある。

James C. Thomson Jr. (1931-2002) | Perspectives on History | AHA

 ところが次のJFKのアーカイブスにはニュージャージー生まれとある。どちらが正しいのであろう。

James C. Thomson Personal Papers | JFK Library

 

 この本、日本の植民がセンチメンタルであったということで教えていただいた本だが、全く違う観点から、すなわち戦後の米国の共産主義傾向をアカデミズムから、またケネディ政権の対中国政策、それもベスト&ブライテストの見解として読むと面白いのかもしれない。