やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

西パプア暴動<追記あり>

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こんなことで西パプアが日本で有名になってしまった。

 しかし、今までのように何も知られないよりはましだ。暴動、虐殺、拷問は常にあった。今回の暴動は規模が大きいのか?ニュースになって世界に流れていることが西パプアを20年以上追ってきた私にはニュースだ。

 なぜ私が西パプアに関心を持ったのか?独立のリーダーだった Dirk Samuel Ayamiseba (1912-2003) の家族との付き合いがあるからだ。彼らの歴史も胸を裂かれそうな話なのだがここでは省く。

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 気になるのはなぜ今か?暴動が過激化した背景は?

 中国の影響ではないか?勘である。中国の第二列島線が辿り着くのが西パプアなのである。資源が豊かで分離独立問題が常に燻っている。しかも赤道上にあり宇宙開発には最適で、現在インドネシアとロシア軍事協力基地がビアク島で展開されている。ビアク島ー日本軍が開拓した島である。

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 中国が背景にいるかもしれないと思った理由はまだる。先々月に参加したニューカレドニアでの学会で西パプアの若者達に会った時沖縄の基地反対運動家の話が出たからだ。背後に中共がいるのは当然だ。だとしたら中共が西パプアにも入り込んでいるかもしれない。

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 アルジャジーラのニュースで気になったのは、現在に西パプアの状況を作り出したのが冷戦下のケネディ政権であることをひとこも触れていない点だ。ケネディはソ連と協力関係を強化するスハルトに西パプアを譲って共産化を防ごうとした。背景にはケネディのベストアンドブライテス達の鉱山利権もあった。この米国の責任を問わずに西パプア問題は語れないと私はいつも主張している。

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日本も大きな責任がある。

まずこの鉱山や西パプやの森林資源などの利用者であること。

インドネシアの独立を支援したこと。

戦争中西パプアの開発を進め資源の価値を高めたこと。

 

西パプア問題、太平洋島嶼国、特にメラネシア諸国を分断する問題となっている

 

<追記>

インドネシア独立記念日に国旗掲揚を無視したとか国旗を破いたとか言うのがきっかけのようですね。過去にもあったはず。しかし西パプアが今独立してもやっていけない。東チモールを見ればわかる。中共の手に落ちるだけ。しかし、インドネシア軍の拷問や虐殺を止めなければならない。