やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

”Red Star over the Pacific” 2nd edition by T. Yoshihara, J.R.Holmes

 昨年12月に発行された"Red Star over the Pacific" second edition、はすごい内容だと思う。軍事、中国の知識がないとついていけない、というのが正直な感想だ。
 それでも中国の海洋権益を中心とした「中華思想」の確信を理解、というより衝撃を受けるのは序章のChina’s Dreamを読むだけで十分だ。私たちは彼らが恐ろしい怪獣であることを今、毎日のように香港の様子を見て思い知らされているのだ。
 First editionが出版された2013年はまだ中国の海洋進出への懸念に対し、懐疑的な声があったのだ。そう、中国に対する認識が変わったのはここ数年。特にトランプ政権になってから、だろう。
 Dr Toshi Yoshiharaは日本人だけどあまり日本で知られていないのではないだろうか? なんとかグリーンなんかより全然重要ではないか?台湾で育ち、米国に住み、日英中の3カ国語を操る。いやもっとかもしれない。この本の背景には彼が原語で読んだ中国語文献が山のようにある。
 日本にこれだけの中国研究者、軍事、安全保障研究者がいるだろうか?最後の章も強烈な提案で終えている。「米国海軍の歴史に二度と幕を降ろそうとしてはならない。」と。
 
 何はともあれ、2008年に中国の太平洋進出野望に一早く応え私が「一人で」ミクロネシア海上保安事業を立ち上げたことをDr Yoshiharaに伝えたい。一時国交省利権になり下がったが今は安倍政権がオールジャパンで進めようとしてくれている、と信じている。

f:id:yashinominews:20190905183010j:plain

この英文献を読むのはちょっと、という人は下記のビデオがオススメ。私は"ながら見”で5回くらい拝見しました。吉原博士が強調する中国人研究者の歴史、理論研究はすごいものがある。私が読めるのは英語になっている文献だけだ。まさに老荘思想的枠組みで世界を構築しようとしている、と時々思うことがある。

www.youtube.com