やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

シュタイン『社会の概念と運動法則』読書メモーその2

草津温泉で読んだシュタイン『社会の概念と運動法則』

読めば読むほど味が出る内容だ。猪木正道先生と五十嵐豊作先生が1949年同時に翻訳出版された理由がわかる。

プロレタリアトは教養も物的財産もないので暴力革命しかできないのだ。革命後も暴力の連続。これが共産主義だ。これに対する支配階級からの反撃が始まる。

それでは資本家や支配階級はプロレタリアトを放って置いて良いのか?そうではない。社会改良が必要だ。これがビスマルク(もしかしてナチスにも?)繋がる。

 

自決権ー自由の議論にフランス革命は重要なのだが、それをどのように議論しようかでこの1年が過ぎている。ひょんなことから手に取ったローレンツ・フォン・シュタインこそがこのフランス革命の自由や平等の原理を鋭く議論しているのだ。プロレタリアトを部分を途上国に起き変えて読むとわかりやすい。彼らは常に不平等を探している。典型は海洋資源や気候変動だ。先進国との不平等を指摘し、金を取ろうと言うことだが、その金が本当に途上国の自由に繋がるのか?

シュタイン『社会の概念と運動法則』は6章からなるが三章が「不自由の発生と概念」四章が「自由の原理と運動」である。森田訳本は一番わかりやすいだろう、と想像して読んでみたが、猪木、五十嵐の訳本と比較しながら読んでみたい、と思うようになった。原文がそうなのかもしれないが、どうもまどろっこしいのだ。