やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて30年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

ハドソン研究所・FBIレイ長官の対中見解 和訳 by Ricky_Elwood

7月7日、ハドソン研究所で行われたFBI長官の講演。興味深く拝見したが、誰か和訳すればいいのになあ、と思っていたらTwetterのRicky_Elwoodさんが全訳を公開!ブログにまとめていいですか?と伺ったところ快くokをいただいた。 以下コピペします。長いです。

 

  • FBI長官クリス・レイ、アメリカにおける中国のスパイ活動を告発するの巻

 

2020年7月7日、ワシントンDCのハドソン研究所で行われたFBI長官クリス・レイの講演を訳しました。話の内容は「中国という国がアメリカに対していかに悪辣で執拗なスパイ活動をしているか、いかにアメリカの利益を掠め取っているか」という物でかなり具体的な内容です。私は身震いしました。衝撃的です。中国というのは本当に恐ろしい国です。そして現在のアメリカの中国に対する厳しい姿勢の意味が理解できました。後半にファーウェイに対する具体的な話が出てきます。

私は「この講演の述べる問題は日本の問題でもある」と強く感じました。

 

※注意:物凄く長いです。興味のない方は飛ばしちゃって下さい。

※ビデオ見ながら訳し始めたんですが途中でFBIのサイトでトランスクリプト見つけたのでそちらを元に訳しました。

 

 (訳はじまり) 冒頭挨拶は省略

 

  • 中国政府と中国共産党によってアメリカ合衆国の経済と国家安全保障に課せられた脅威

 (8’07”)

我が国の情報と知的財産、そして我々の経済的活力にとって最大の長期的脅威は中国からのカウンター・インテリジェンスと産業スパイ活動の脅威です。それは我が国の経済的安全保障、ひいては国家安全保障に対する脅威です。国家安全保障補佐官のオブライエンが最近の講演で述べた通り、中国が何をやっているかについて我々は目も耳も閉じる事は出来ないのです。そして本日、この脅威の重要性と言う観点から私は中国の脅威についてこれまでFBIが公開の場でお知らせして来た以上の詳細をお伝えしたいと思います。この脅威は余りにも重大なので、司法長官そして国務長官も今後数週間に亘ってこれらの問題について多くの事をお伝えする事になるでしょう。

 (8’54”)

しかし、もし貴方がこれらの問題を単に諜報活動の問題、あるいは政府の問題、また或いは大体の事においては自己解決能力のある大きな企業群にとっての迷惑な行為だと考えるのならば、それより悪い理解の仕方はありません。中国の略奪のスケールは余りにも膨大でそれは人類の歴史上最大の富の移転の1つと言えるものであり、そしてその被害者はアメリカ国民なのです。もし貴方がアメリカの成人なら、中国が貴方の個人データを既に盗んでいないとは考えにくいのです。

 

(9’29”)

2017年、中国軍はEquifax(アメリカの信用情報会社)のシステムに侵入して1億5千万人分のアメリカ人の個人情報をハッキングして逃げ去ろうとたくらみました。これはアメリカ国民の半数、そしてほぼアメリカの成人の数です。後程述べる通り、これは単独の事件では無かったのです。危機に瀕しているのは我々のデータだけではありません。我々の健康も、生活も、そして安全も脅かされているのです。

 

(10’01”)

我々は今や、FBIが10時間ごとに新規の中国関連のスパイ防止活動を始めなければならない所まで追い詰められているのです。現在FBIで進行中の5,000近いスパイ防止活動の内殆ど半分が中国に関係した物です。そして今まさにこの瞬間においても中国はCOVID-19の基幹研究を行なうアメリカの健康関連組織、製薬会社、教育機関のシステムに侵入しようとしているのです。ですがこの話を続ける前に明らかにしておきたい事があります。この話は中国の国民についてのものではありません。中国系アメリカ人に関する事でも絶対ありません。アメリカは毎年10万人以上の中国人学生と研究者をこの国に喜んで迎えております。何世代にも亘って人々は自分自身そして家族の為、自由の恩恵を享受するために中国からアメリカへと旅をして来ました。彼らの貢献によって我々の社会はより良いものになっています。よって私が中国からの脅威について話す時、私が問題にしているのは中国政府であり、そして中国共産党の事なのであります。…

 

  • 中国の政権とその野望の範囲

(11’10”)

この脅威を理解し、それに応えてどのように行動すべきかを理解する為にはアメリカ国民は3つの事を思い出さなければなりません。まず最初に、我々は中国の野心の範囲について目を見開いていなければなりません。中国=中国共産党=は経済的そして技術的リーダーシップにおいてアメリカを凌駕するのは何世代にも亘る戦いだと思い定めています。これにはハッとさせられます。ですが中国はこの戦いをまっとうなイノベーションを通してではなく、また公正で法に則った競争を通してではなく、ここアメリカ合衆国で大切にしている「考え方・発言・創造の自由」(という権利)を国民に与えること無くして遂行しているのです。代わりに中国はいかなる方法を使ってでも世界で唯一の超大国になろうという国全体を挙げての努力を行なっているのです。

 

  • 多様かつ重層的なアプローチ

(12’03”)

アメリカ国民が理解しなければならない2番目の事は、中国はサイバー的な侵入から始まって、信頼されている内部の者の買収に至るまで、全てを幾重もの洗練された技術を使ってこれを行うという事です。彼らはあからさまに物理的に物を盗む事さえ行います。そして彼らは広範囲に存在する実行者を通じて革新的技術を盗む為の広汎な方法を開拓して来ました。その方法には中国の情報機関のみならず、国有の組織、表向き民間の会社、ある種類の大学院生、研究者、そして彼らの為に働くバラエティに富んだ実行者達が含まれているのです。

 

  • 産業・経済に関するスパイ活動

(12’39”)

自分達がゴールに到達しアメリカを凌駕する為には、自分達は最先端技術に向けて飛躍する必要があると中国は認識しています。ところが悲しい事に、革新技術開発の辛く長い歩みに取り組む代わりに中国はしばしばアメリカの知的財産を泥棒します。そして技術を盗まれたアメリカの会社群と競争・対抗するためにまさに盗んだその技術を使うのです。事実上2回の不正を働く訳ですね。彼らは軍事装備から風力タービン、米穀やトウモロコシの種子に至るまで全てのものの研究成果を標的にしています。

 

(13’14”)

才能ある人々を募集する計画、所謂「俊英千人計画」(Thousand Talents Program)を通じて中国政府は(中国籍の?)科学者たちにアメリカの知識を密かに中国に持ち帰らせるべく美味い話を持ちかけています。例えそれが所有権のある知的情報を盗んだり、或いはアメリカの輸出規制や利益相反のルールを犯すものだったりしてもです。

 

(13’34”)

例として中国籍の合法的アメリカ永住者、科学者ホンジン・タンの場合を挙げてみましょう。彼は中国の「俊英千人計画」に応募して、勤務していたオクラホマに拠点を置く石油会社から10億ドル(おい1000億円かよ!)以上に相当する企業秘密を盗んだ為に逮捕されました。数ヶ月前、彼は有罪判決を受けて刑務所に送られました。

またテキサスの科学者、シャン・シーも今年の前半、刑務所行きの有罪判決を受けました。シーはシンタクティック・フォーム(Syntactic Foam)と呼ばれる潜水艦に使われる重要な海軍のテクノロジー関連の企業秘密を盗みました。シーもまた中国の「俊英千人計画」に応募していました。特筆すべきは彼はアメリカの持つその関連技術を消化吸収する(して帰る)と誓っていた事です。彼は中国の国有企業の為にこの悪事を働いたのですが、この国有企業は究極的にはアメリカの企業を市場から追い出し市場を席巻する為に造られたものでした。

 

(14’38”)

この悪巧みのさらに苛立たしくて飛んでもない面の1つ、それはこの陰謀団(cospirators)はまさに奴らが盗んだ製造プロセスそのものそのままで中国で特許を取得したんです。そして技術を盗まれた被害者のアメリカ企業に向かって「我々とジョイント・ベンチャーをやらないか?」と持ちかけたんです。

 (※注:そのアメリカ企業が中国市場に展開しようとしたら本来自分達の物だった技術が何故か中国企業の特許となっており自分達はそれを使えない。するとその盗っ人中国企業が『このオレたちのパテント使ってジョイント・ベンチャーやらんか』と持ちかけてきた、という屈辱的な背景が察せられます。日本にも似た背景で辛酸を舐めた会社がありませんでしたっけ?)

 

これは何年もの年月と何億もの金をつぎ込んで中国が模倣出来ないテクノロジーを開発したアメリカの会社の話なんです。それなのに結局その会社はそのテクノロジーを盗まれるために開発費を投じた事になったという訳なんです。

 

(15’08”)

そしてほんの2週間前、ハオ・ジョングは産業スパイ行為、企業秘密泥棒、2つのアメリカ企業から無線装置の知的所有権のある情報を泥棒した廉で有罪となりました。2つのうち片方の企業はこのテクノロジーの開発に20年以上をかけていたのですがジョングが盗みました。

これらのケースは、アメリカのテクノロジーに対して実際に行われたか或いは計画中の中国の泥棒行為についてFBIが抱えている1,000件以上の調査のほんの一部です。そして中国に関連して進行中の他の種類の1,000以上のスパイ防止活動調査が「別に」あると言わねばなりません。我々はこうした種類の調査を全部で56個の現地調査オフィスにおいて指揮している訳なんです。そして過去10年において我々FBIは中国とつながりを持つ産業スパイの件数が概ね1300%(13倍かよ!)増加したのを見てきた訳です。これ以上危険な事は無いでしょう。そしてアメリカのビジネスへの、そして経済に対する潜在的損害の全体像については、これはもう殆ど筆舌に尽くしがたい天文学的なものです。…

 

  • 秘密の取り組み

(16’16”)

国家安全保障補佐官のオブライエンが6月の演説で述べた通り、中国政府はアメリカの企業と個人のデータを盗むために自由気ままにハッキングを行なっています。彼らはその為に軍のハッカーと非政府のハッカー達を使っているのです。先程私の申し上げた中国の軍人を起訴する事となったEquifax(アメリカの信用情報会社)のシステムへの侵入。これは中国がアメリカ国民の膨大な量の個人機密情報を盗んだただ1つのケースではなかったのです。

 

(16’47”)

例えばここにいる皆さんの中でアンセムかその関連会社で健康保険をかけている人はいませんか?2015年、中国のハッカー達はその会社の現会員と過去の会員達の8000万人分の個人情報を盗んでいきました。

 

またあなた方は連邦職員かも知れませんし、かつてそうだったかも知れないし、或いは一度は政府の仕事に応募したかも知れないし、その家族やルームメイトが応募したかも知れませんね。で、2014年、中国のハッカーたちはOPM、つまり連邦政府の「個人情報取り扱い事務所」から2100万件の記録を引っこ抜いて行ったのです。

 

(17’22”)

何故彼らはこんな事をするのか?まず第一に中国は「人工知能(AI)の世界のリーダーになってやるぜ」という事を最優先事項に置いたのです。そして中国のAIツールの開発にこの種の盗んできたデータをブチ込むんです。しかしその脅威は絡み合っています。中国は秘密情報集積の為に人々を特定しようと試みているから彼らが盗んだデータは明らかに価値あるものです。中国はまず表向きにはSNS、アメリカ人がネットに繋がってたり、あるいは仕事を見つけたりするのに使っているのと同じようなソーシャル・ネットワーク・サービスを使っています。中国はそれを使ってアメリカ政府の高度な情報にアクセスして人々を特定します。そしてそれ(情報か)を盗む為に人々を標的にするのです。

 

(18’03”)

ちょっと1つの例を拾い出してみましょう。最近よく使われているあるSNSにおいて1人の中国人諜報官がヘッドハンターのふりをして1人のアメリカ人に所謂「コンサルティング業務」の見返りとして相当な額の金額を提示しました。その「コンサルティング業務」はとても安全なものに思えたのです。その標的とされたアメリカ人が「コンサルティング業務」なるものが自分がアメリカ軍の情報スペシャリストとしてアクセス権限のある機密情報と関係していると認識するまでは。

 

(18’32”)

ですがこの話はハッピーエンディングを迎える事が出来ました。このアメリカ人は正しいことを行ったんです。この疑わしいコンタクトを通報し、FBIは武装隊員と共に動いてその危険を除去したのです(武装隊員が出てきたという事はその中国人諜報員を逮捕したのかも知れんですね)。

 「全ての事件は皆こんな風に終わるものです」と言えたら私はどんなに良い事だろうかと思いますね。

 (※注:やっぱり中国人のワナにハマってしまうアメリカ人も少なくないという事か)。

 

  • 研究機関への脅威

(18’50”)

これは学術研究機関においても厄介なほど同じ話があるんです。

 「俊英千人計画」のような才能ハンティング計画を通じて、中国はアメリカの大学の科学者達にアメリカの情報、そしてイノベーションを中国に密かに持ち帰るように金を払うのです。それには政府が資金を拠出した貴重な研究も含まれます。ぶっちゃけ中国のテクノロジー開発の経費を支払っているのは事実上アメリカの納税者達だと言う事なんです。そして中国は不正に得たアドバンテージを活用してアメリカの研究機関や企業の価値を下落させます。そしてこの国の先進性を鈍らせ、アメリカの労働コストを高騰させるという訳です。我々はこのようなケースをもっともっと見ているんです。

 

(19’36”)

5月単独で見ても我々はクリーブランド・クリニックで高分子薬品と心臓血管障害の遺伝学について研究していた前研究者のチン・ウォングと、アーカンソー大学でNASAの為の研究をしていたサイモン・ソーテオンウォングの2人を逮捕しました。

この2人は申し立てによれば、アメリカ政府の資金から何億円も受け取っておきながら「中国の才能ハンティング計画」に自分達が関与している事を秘密にして詐欺に関与したと言う事です。

 

(20’08”)

その同じ月にエモリー大学のシャオ・ジーアン・リーは自分が中国の「俊英千人計画」から受け取っていた収入を申告せずに偽の納税申告書を提出した事について有罪を認めました。リーはエモニー大学でハンティントン病について研究をしている一方で、中国から受け取った50万ドルの金を無申告で自分のポケットに入れていた事が我々の調査によって明らかになりました。

 

(20’32”)

同じようにハーバードの化学部門および生物化学の長であるチャールズ・リーバー(Charles Lieber)はつい先月、自分の「俊英千人計画」に対する関与について政府(連邦)関係局に虚偽の陳述をした廉で起訴されました。

 

合衆国すはリーバーが自分が中華大学において主幹科学者という立場にある事を、そして中国政府が彼に金を払っている事実をハーバードに対してもNIHに対しても隠していた事について訴えました。彼は武漢テクノロジー研究所から月給50,000ドル(月に500万円かよ!)、生活費として15万ドル(生活費が1500万円かよ!)、そして中国に戻ったら研究所を設立するための150万ドル(1億5千万円かよ!)を受け取っていました。

 

(※注:中国の賄賂的支出はケタが違いますね。訳しながらつい『ボクにもそろそろ謎の中国人からコンサルタント業務のオファー無いかな』って一瞬楽しい想像をしました。『何、月給3万ドル?チャールズ・リーバー君は月5万ドル貰ってたそうだが私も軽く見られたもんだな。お引取り願おう!』とか中国人スパイに言ってみたら気分爽快だろうなあ。問題は誰も何も私に言ってこないという事です。中国人もシビアだから無価値な人間には一顧だにしないという事だなやっぱし

 

  • 有害な外交的影響力

(※注:英語は"Malign Foreign Influence"です。どう訳せば良いのか解らないままこのような日本語にしました)

 

(21’15”)

まだあるんです。中国と中国共産党がアメリカ人を操る為に使うツール、それが我々が「有害な外交的影響力」(Malign Foreign Influence)と呼んでいるものです。伝統的な外交的影響力というのは通常の、外交チャンネルを通して行われる合法的な外交活動の事です。

 しかし「有害な外交的影響力」の効果は政府に対して破壊的なものであり、言葉として出されないものであり、犯罪的なものであり、或いは我が国政府の政策を揺さぶる高圧的なたくらみであり、我が国の公的立場を歪曲するものであり、そして我々の民主主義的プロセスと価値観における信頼を弱体化させるものです。

 

(21’52”)

中国は最も洗練された「有害な外交的影響力」キャンペーンを行なっております。そしてその手法には賄賂、脅迫、そして秘密の取引が含まれます。中国の外交官達も「オープンで剥き出しの経済的圧力」と、「一見したところ独立した仲介者」の2つ両方をアメリカの政府職員に対して中国の好ましい方針を押し付ける為に使います。

 

(22’15”)

1つのありがちな実例を見てみます。あるアメリカ政府要人が台湾への旅行を計画しているという噂を中国が聞きつけたとしましょうか。要人としては知事や州議会議員、下院議員辺りを考えてみて下さい。中国はそれが起こるのを望みません。何故ならその旅行が中国からの台湾の独立を正当化するもののように見えるかも知れないからです。そして台湾の正当化は中国の「1つの中国」政策と勿論相容れないものだからです。

 

すると中国は何をするでしょうか?そう、中国はそのアメリカ人政府要人の有権者達を利用するのです。アメリカの企業、大学、メディアの人々。全てが中国人のパートナーやマーケットにお近づきになりたいという合理的で理解の出来る動機を持っています。そして中国共産党中国は独裁的性向を持っていますから中国はそれらのパートナーやマーケットに対して強大な権力を持っている訳です。だから中国は時として公然かつ直接的にそのアメリカ政府要人に影響力を行使しようとします。

 

(23’10”)

もしそのアメリカ政府要人が一歩進んで台湾への旅行をしようとしたら中国は大っぴらに警告を発するかも知れません。中国はその政府要人の地元州からやって来た企業を選んで、中国での製造ライセンスを取り消す事によって八つ当たりをするでしょう。

これはその企業にとって経済的に破滅的なものになり得ます。それはアメリカ政府要人が旅行計画を見直す直接の圧力になるでしょう。そしてその要人は中国が自分に影響力を行使しようとしたんだと知ることになるでしょう。

 

(23’35”)

これは充分に悪い事でしょうね。しかし中国共産党はしばしばそこで立ち止まらないのです。彼らは自分たちが権力の座に留まりたい時はそこで立ち止まる訳にはいかないんです。だから彼らはより破壊的な力さえも使います。もし中国がより直接的であからさまな影響力行使でうまく成果が上がらなかった場合、彼らは時として間接的な、秘密めいた人の目を欺く影響力行使に変更する事があります。

 

(23’57”)

中国共産党が喜ばない旅行プランを持ったそのアメリカ政府要人の実例を続けましょう。中国はその要人と最も近しい人々を執拗に割り出します。その要人が最も信頼する人々をです。次に中国はそれらの人々がその要人に影響を与える仲介者として中国の為に動くように努力するのです。

 

そちら(中国側)に引き込まれた仲介者はやがてその要人の耳元で囁いてその要人の旅行プランを揺さぶろうとするかも知れないし、或いは中国の政治上の立場について囁くのかも知れません。

 

(24’30”)

これらの仲介者は勿論自分達が中国共産党の手駒だとその要人に告げたりはしません。しかも更に悪い事にこれらの仲介者の中にはおそらく自分達が手駒として使われてる事にすら気がついていない者がいます。何故なら彼ら自身もまた欺かれているからです。

 

(24’54”)

同様に、中国はもし(自由主義諸国の)学者やジャーナリスト達が中国を旅行したいと言うのならば彼らに自主検閲をするようしばしば強要するんです。我々は中国共産党がアメリカのメディアやビッグ・スポーツ団体に圧力をかけて香港や台湾に関する中国の野心について無視するか、或いは発表させないようにするのを散々見てきました。この種の事態はアメリカ中で腐るほど起こっています。

 

(25’19”)

そしてコロナウイルスのパンデミックも不幸にしてこうした行いを止めはしなかったという事を私は指摘しておきます。実際のところ我々は連邦政府から、州政府から、そして地方行政官からも聞いているんです、中国のCOVID-19危機対応の支持表明するよう中国の外交官が彼らに積極的に要請しているという話を。そうなんです、連邦政府レベル、州政府レベルの両方でこれが起きているんです。そんなに前の事じゃないんですがパンデミックに対する中国の対応を支持する決議を出してくれと頼みこまれたある州の上院議員もいるんです。

 

これらの一見取るに足らないと思えるプレッシャーの全てが結局のところ中国共産党に支配された政策決定環境をつくるという事になるのです

(※訳まるで自信ありません。…原文”All of these seemingly inconsequential pressures add up to a policy making environment in which Americans find themselves held over a barrel by the Chinese Communist Party.”)

 

  • 「法の支配」への脅威

(26’02”)

その間中、中国政府と共産党は厚かましい事に、安定していた社会規範と「法の支配」を犯しました。

2014年から習近平国家主席は「キツネ狩り」(Fox Hunt)として知られる計画の陣頭指揮を取っています。中国は「キツネ狩り」をある種の国際的な腐敗防止キャンペーンであると説明していますが、そうではありません。

「キツネ狩り」は習近平が脅威だと考える海外に住んでいる世界中の中国人を標的にかける為の習近平主席による運動です。我々は政敵、反体制派、そして中国の広範囲にわたる人権侵害を暴露しようとしている批判者達についてお話をしています。

 

(26’47”)

彼ら(習近平一派)が標的とする「キツネ狩り」の何百人もの被害者達はここアメリカ¥に住んでいます。そして多くはアメリカ市民権を持っているか、永住権保持者です。中国政府は彼らを強制的に中国に戻したいと思っています。そして中国のその戦略はショッキングなものです。例えば中国が「キツネ狩り」のターゲットを見つけられなかった時には、中国政府はここアメリカに使者を送ってターゲットの家族を訪問させます。この事が(ターゲットに)伝えるメッセージは何だったと思いますか?

 ターゲットには2つの選択肢がありました。

  (1)すぐに帰国する

 (2)自殺する

 です。そしてキツネ狩りのターゲットが中国への帰国を拒否すると何が起こるでしょうか?過去においてはここアメリカに住む家族と中国に住む家族の人々が脅迫され、抑圧されています。そして中国に戻った人々は逮捕されています。

 この機会に申し上げておきましょう。もし「自分は中国政府に狙われている」と、つまりキツネ狩りの犠牲者になる可能性があると思うならどうか地元のFBIのオフィスにコンタクトを取ってください。

 

  • 我々の寛容性につけ込む

(27’53”)

国はこのような戦術を取る事が出来るんだ、と理解することによって私はアメリカ国民が覚えて置かなければならない3番目の事態にたどり着くのです。つまり中国は根本的に我々と異なるシステムを持っているという事です。そして中国は自分達の閉鎖的なシステムによる利益は享受する一方で、我々の寛容性につけ込む為にはやれる事は何でもやるんです。

 

(28’14”)

ここアメリカ合衆国において大きな意味を持つ「区別」の多くは中国においては曖昧か、あるいは殆ど存在していません。私が言っているのは、…

「中国政府と中国共産党の間」

「市民と軍事部門の間」

「国と民間部門との間」

 にある「区別」の事です。

 

一例を挙げると、数え切れない程多くの中国のビジネスが国有企業です。文字通り政府の所有で、ひいては共産党のものなのです。もしそうでないとしても中国の法律では、政府はいかなる中国企業に対しても政府の要求する情報を渡すよう強制できるのです。アメリカ国民のデータもそこに含まれます。

 

(28’55”)

それに加えて中国企業は実際どんな規模であれ会社内部に共産党の細胞(小集団)を持つ事を法律的に求められます。さらに警戒すべき事に、伝えられるところではそこでビジネスをする必要経費として、中国内で運営されているいくつかのアメリカ企業内においても共産党小集団が設けられているというのです。

 

(29’15”)

この種の特徴がいざファーウェイの様な中国企業と協業しようかと考えた時にアメリカ企業を躊躇させる訳です。そのような会社のデバイス、ネットワークを信頼するのかどうかにおいては全てのアメリカ企業は躊躇するでしょう。

 

世界最大のテレコミュニケーション機器製造会社として、ファーウェイはアメリカ企業が中国内で持っているよりもうんと沢山の幅広いアクセスを持っています。ファーウェイはアメリカ国内で「違法行為による陰謀」および起訴状にある通り「アメリカ企業から繰り返し盗まれた知的財産」「司法妨害」「アメリカ政府に対して、そしてビジネスパートナー達にウソをついた事」で起訴されています。ビジネスパートナーには銀行も含まれます。…

 

(30’00)

訴えの内容は明快なものです。ファーウェイは「法の支配」と「被害者の権利」の両方を無視するというパターンでの「知的財産の連続窃盗犯」なのです。私は皆さんにお伝えしなければなりません、ファーウェイの創立者レン・ゼン・フェイがこの会社の物の考え方についての言葉を綴った最近の記事を読んでそれが私の注意を惹きました。ファーウェイの研究開発センターにおいて、伝えられる所によれば彼は社員に言ったそうです。

 「この会社が確実に生き残る為には前進せよ、前進して殺せ、血の痕跡で我々を燃え上がらせるのだ」

 

彼はまた社員に「ファーウェイは戦争状態に入った」と語ったと伝えられています。私は彼が文字通りの事を言った訳でない事を望みますが、でもこの会社で繰り返されている犯罪となる振る舞いの事を思うと、それは士気を高める調子のものとは思えません。

 

(30’55”)

我々の住む現代の世界では、敵意ある外国政府が自国のインフラや電子装置類に侵入する力を持っている事ほどヤバい話は恐らく無いでしょう。もしファーウェイの様な中国企業が我々のテレコミュニケーションのインフラにアクセスする自由を与えられたら、彼らは彼らのデバイスやネットワークを横断して皆さんのどんな情報でも集める事が出来るでしょう。さらに悪いことに、もし中国政府の要求があったら彼ら(ファーウェイなど)にはその情報を中国政府に手渡す以外の選択肢は無いのです。

 アメリカ合衆国において極めて神聖なものであるプライバシー、そしてデュー・プロセス(適正な法手続き)による保護は中国には全く存在していないのです。…

 

  • この脅威に効果的に対応する

(31’34”)

中国政府は「盗み」と「有害な影響力の行使」でもって広大かつ多様なキャンペーンを行なっています。中国はこのキャンペーンを独裁主義的効率の良さを以て実行する事が出来ます。彼らは計算しています。彼らは執拗です。彼らは忍耐強い。そして開かれた民主主義社会または法の支配の下においては当然となる筈の強制力、彼らはその強制力の支配下にはないのです。

 

(31’59”)

中国共産党に率いられた中国は、

 

 ・我々のアイデアを不正使用する事

 ・我が国の政治家に影響力を駆使する事

 ・我が国の世論を捏造する事

 ・我々のデータを盗む事…

を続けようとしています。彼らは持てる力、持てる道具の全てを使って立ち向かってくる。だから我々もそれに対抗するのに持てる力、持てる道具の全てが必要になるのです。

 

FBIにおける我が朋輩たちは我が国の企業を、大学を、コンピューターネットワークを、そして我々のアイデアとイノベーションを守る為に毎日身を粉にして働いています。その為に我々は伝統的な法執行機関から情報収集能力に至るまでの膨大な量の技術を使っています。

 

(以下、総論、まとめ、終わりの言葉に入るが省略します)

=訳終わり=

 

  • 感想

アメリカと中国の情報・諜報機関の暗闘。話には聞いていましたが想像以上の規模でした。アメリカの「ファーウェイは絶対排除する」という方針は何年にもわたるファーウェイとの戦いを通して出された結論だったんですね。

 

NHKだったか?のニュースで「トランプ大統領が失地回復の為、支持率回復の為に、大統領選挙の為に中国に対して厳しい姿勢を打ち出している」という論調を見かけた記憶がありますがそれはクソダワケの考え方です。これはアメリカの安全保障に関わる重大問題なんです。アメリカ人は真剣なんです。

 

日本人は、日本の企業人はこのアメリカ人の真剣さを決して見誤ってはならないのではないでしょうか。

 

この件に関してはクリス・レイが講演冒頭で「近々司法長官と国務長官からもこれについての話がある」と言ってましたので近いうちにビル・バーとポンペオ長官がFBIの上級官庁として何か述べるんだろうと思います。何を言うのか愉しみです。

なお私が強く感じたのは「アメリカでさえこれだけやられている。じゃあ日本はもっと中国の情報活動でメチャクチャやられてるだろう」という事です。日本で「Malign Foreign Influence/有害な外交的影響力」の犠牲になった政治家は多いだろうなと想像されます。中国寄りの政治家はみんなMFIにやられてて身動きが取れなくなってるんと違いますかね?新聞屋もテレビ屋も雑誌屋もみんなMFIにやられてる可能性がある。知らないのはノンキな国民だけ…。まさかそんな事態になっていないだろうと信じたいところです。日本にはスパイ防止法が必要です!

(おわり)