やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

インドネシア独立宣言に「皇紀」が使用されている理由(2)

インドネシア独立宣言に皇紀が使用された理由。単なる事務的、形式的以上の意味が、多分国際法上の意味があるのでは?と思い「事務的」と主張される郵便学者内藤先生にどの国際法か聞いてみたが教えてもらえなかった。戦時国際法の占領に関する議論だと思うが、人道法は新井京先生の授業での文献に追いつけないだけでなく、全く興味を持てなかったので全然わからない。ウェブで検索したら宮崎繁樹先生の論文が出て来た。

宮崎繁樹先生の「占領に関する一考察」は勉強になった。同論文は連合軍の日本占領とはなんなのかを検証した1950年に出された論文。占領真っ最中に書かれた論文だ。占領の法理的性格の箇所が重要だと思われる。日本軍がインドネシアに対してどのような占領体制をとったのか絶対資料、学術議論があるはずだし国際法の観点からも研究がされているはず。ここがわかれば皇紀を使用した意味がわかるのではないか。当時の日本政府は、日本軍は主権代行説をとったのではないだろうか?

 

ここに宮崎繁樹先生の79本の論文がある。ここに上記の占領に関する論文がある。全部読み込みたい。

https://m-repo.lib.meiji.ac.jp/dspace/items-by-author?author=宮崎%2C繁樹

 

2019年に出たばかりの宮崎先生の追悼論文集

国際法のフロンティア|日本評論社

 

2020年今年の夏のBBCインドネシアの記事と番組である。日本語にだれか訳していないだろうか?前田精少佐を評価している内容のようだ。

 
この2000年に出されたペーパーも興味深い。皇紀が使用された理由は書いていないが、なんとなくわかる。スカルノは西洋教育を受けた合理主義者。

オング スーシー インドネシアにおける日本軍政期の研究 : 今日のインド ネシアにとってのその重要性、一橋論叢, 123(2): 292-304、2000-02-01

https://hermes-ir.lib.hit-u.ac.jp/rs/bitstream/10086/10546/1/ronso1230200620.pdf

 

<以下気になった箇所の書き出し>

(日本軍から武器を得た)武装青年闘士たちは政府とオランダ軍との協定を無視して協定上のオランダ軍支配の地域に侵入し、オランダ軍側に共和国政府潰しの口実(協定違反、統治能力なし)を与えてしまった。

宣伝部主導のプロパガンダが奏功し、彼等は強烈な反西洋主義者で西洋関係のもの全てを敵視するようになり、 西洋的合理主義のアンチテーゼとしての東洋的精神主義の信奉者となった・・・

スカルノらは反オランダ植民地支配の闘士であると同時にオランダ植民地時代には既に西洋近代的教育を受け、合理主義と効率性を重んじる実務派としての指導者であった・・