やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて30年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

信夫清三郎著「ラッフルズ伝」(2)

f:id:yashinominews:20201024144142j:plain 著者信夫清三郎の父、信夫淳平。外交官、国際法学者


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かつての英国植民地ウィキより

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パラオの大統領選が気になってなかなか読む進まない信夫清三郎著「ラッフルズ伝」。

 

キンドル で購入した同書は1994年発行。初版第11刷とある。平凡社の東洋文庫だ。初版は1968年なのだが、同書「新版への序文」にあるようにこの本は1943年9月に日本評論書から出版された。戦争真っ只中。発売1週間で内務省から発売禁止の命令が下った。敵国イギリスを褒めているという理由。奥さんの澄子さんが装幀した表紙も戦争を冷ややかにみている、と批判されたのだそうである。

そして「新版への序文」は後藤新平の植民政策に続く。日本のアジアへの侵略戦争は後藤の、ラッフスルズの、そしてアダム・スミスの啓蒙主義による植民政策を冒涜するものであり、この本を書くことが日本帝国主義侵略戦争に反対する唯一の行動であった、と言う。

これぞ私が探し求めていた資料なのだ。この本を「読むに耐えるが今は誰も顧みないテーマ」と評した白石隆氏を私は心の底から軽蔑する。

発売禁止となった同書は25年の月日を経て出版されることになった。

400ページを超える大作だが、序章と12の章からなる。著者が提案するように序章の植民史の新時代と12章のラッフルズの歴史的地位、を先に読み、中身のラッフルズ伝を読んでいる。

正直に言うと序章だけでもう十分だ。英国の植民史がかなり見えてて来た。植民政策論であるアダム・スミスの『国富論』は英国政治に、そしてラッフルズにしっかり引き継がれたのである。そのことを、少なくとも後藤、新渡戸、矢内原は知っていたはずだ。

信夫清三郎氏はラッフルズ伝を書くきっかけが『後藤新平―科学的政治家の生涯』を書いたことだという。この本も読んでみたい。

序章 植民史の新時代 ページ数40

第1章 東インド会社 ページ数5

第2章 ペナン ページ数25

第3章 マラッカ ページ数10

第4章 ジャワ遠征 ページ数30

第5章 ジャワ改革 ページ数70

第6章 日本貿易計画 ページ数50

第7章 帰国  ページ数12

第8章 スマトラ ページ数25

第9章 シンガポール建設 ページ数110

第10章 アチン・ケダー・シャム ページ数25

第11章 最後の帰国・死 ページ数20

第12章 ラッフルズの歴史的地位 ページ数10

シンガポールが一番多い。次がジャワだ。そして日本。

2、3章は軽く読み進めたがジャワに入る前にシンガポールか日本に飛びたい誘惑がある。