やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて30年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

読書メモ ワシントン会議1921年

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1921−22年に開催されたワシントン会議は、ヤップ条約があるので、いくつか文献を読んできた。博論にも書いている。

しかし、その全体像は気になっていても必要という状況でなかったのでお預けにしていた。

空母エリザベスがインド太平洋にやってきた。日英同盟の再来、という声もある。

ワシントン会議の主要議題の一つがこの日英同盟の廃止だ。

政治学者 大畑篤四郎の「ワシントン会議開催と日米関係」(国際政治1961 年 1961 巻 17 号 p. 91-106)と横山隆介著、「ワシントン会議と太平洋防備問題」(防衛研究所紀要 第1巻第2号(1998年12月))を読んだ。横山隆介氏は防衛省の方であろうか?

 

大畑論文はワシントン会議開催に至るまでの詳細が研究されている。ヤップ問題は米国にとってかなり重要だったのだ。連盟加盟を、すなわち旧独領の日本委任統治を認めたくなったのだ。そしてヤップはじめミクロネシアの島々が米国の軍事拠点、ハワイーグアムーフィリピンを結ぶ列島線上にある事が、米国に軍事的懸念を持たせた。これが海軍問題に発展する。そして1916年建艦法で米国は海軍拡張を進め、他方世界最大の英国海軍は縮小していく。

 

横山論文では日英同盟解消に日本が、特に外務省が前向きで、バルフォアは逆に再締結の可能性を示唆していたのに、日本が裏切ったような事が書かれている。そこには4カ国条約が日英同盟の代替条約になるという勘違いがあった、すなわち軍事同盟を理解していなかった、というのだ。

そしてはやり米国の軍事拡張、アルーシャン列島、ミッドウェイ、グアム、ウェーク、フィリピン、ハワイ、(グアノ島法で得た島もたくさんある)と獲得し、ワシントン会議ではこれらの米領の島と日本の委任統治を含む島嶼の軍事化の問題で議論が長期化する。

 

今インド太平洋を巡って、英米と日本は協力する関係となった。時々出てくる歴史認識で、「それ、違うんじゃない?」と思う事がある。少なくとも軍事拡張をしようとしていたのは米国なのである。プロパガンダとパラノイアが100年を過ぎても展開されているような気がしている。