やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

トンガを知る(3) ポリネシア文化成立への基盤

トンガを知るにはポリネシアを、

ポリネシアを知るにはオーストロネシア語族を、

言語学によってオーストロネシア語族の存在が明らかにされ、それが考古学によって証明されていった。

パトリック・カーチ博士の追悼文で紹介した篠遠嘉彦先生の「ポリネシア文化成立への基盤」が1993年出版の「オセアニアシリーズ」第1巻の島嶼に生きる、にあったのでそれをツイッタースペース読み上げた。

東ポリネシアのマルケサス、フアヒネを中心に篠遠博士の研究が紹介され、約一千年前にニュージーランド、ハワイ、イースター島に拡散したポリネシア人はマルケサスを起点にしたのではないか、という仮説も紹介されている。

この話は私が篠遠先生にお会いした1996年頃に聞いた話と同じであった。

釣り針により編年などかなり専門的だが、それでもイメージとしてどのように発掘し、発掘された物の観察、分析、保管がされるのか興味深い。他方でホテル開発を考古学調査のために中止するなど、篠遠先生に敵がいた事も理解できる様子がわかる。

私は、篠遠先生が実施した、考古学の修復と現地への観光資源や現地専門家の養成という点を数年、いや、かなりの期間支援させていただいた。そして、私が企画した八重山諸島での「やしの実大学」の学長にもなっていただいたのだ。

これも、財団で裏金づくりを唆されて、それができずに自分の貯金をおろしてタヒチの篠遠先生が企画するクルーズを予約したことが背景にある。裏金づくりを唆した人たちはいなくなり、事業は流れた。腹をくくって自腹で長期休暇をとってクルーズに参加したことで生まれた事業である。結果的に篠遠先生の事業を支援させていただき、また多くを、本当に多くを学ばさせていただいた。