やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

ペリリューに残された不発弾

 本当に知らない事ばかりである。

 

 手元にイギリスで登録された地雷除去活動をするNGO, “CLEARED GROUND DEMINING”のレポートがある。

 

 日本が戦地に残して来たのはハンセン病隔離病棟の悲しい歴史や、戦跡、御遺骨だけではない。

 ペリリューに米軍が投下したのは600トンの爆弾と2,200トンの砲撃弾。その一部がまだ不発のまま残されているのだ。そしてそれと同じ位の量の日本軍が持ち込んだ爆弾が、コロール、バベルオダブ島にもあるのではないか、とのこと。

 さらに恐ろしい事にこの爆弾がペリリュー島の31%の家庭にあることが調査でわかり、早急に除去する必用がある、とい書いてある。

 

 他にもこの爆弾を使って地元の方がリーフで漁をし、大けがをしたり、珊瑚が破壊される等のケースがある。しかも、法律で禁止されているがために、これらのケースは報告されない。よってさらなる被害に繋がっている、と分析している。

 

 そして遺骨収集場所、即ち戦闘地や今も残る防空壕にこの不発弾は多いと言う。

 “CLEARED GROUND DEMINING”は今回の日本政府の遺骨収集活動にも協力を依頼されているが、日本政府から資金は出ないのだそうだ。それでこれはまだ裏を取っていない情報だが、なんとニュージーランド政府が短期の活動資金を出したのだそうである。

 日本政府はミクロネシアへの戦後補償は終了した、という「立場」なのだそうだが、どうも納得できない話だ。

 

 

 ウェッブでざっと調べただけだが、日本の遺骨収集はボランティアの、即ち地雷除去作業や骨の鑑定等、専門知識や技術がない素人の方々による活動のようだ。しかも日本政府の方針で、収集した骨は現地で焼骨するらしい。

 しかし、焼骨するとDNA鑑定が難しくなるそうで、日本人なのかアメリカ人なのか、もしくはパラオの方かわからなくなる。現在のDNA鑑定は進んでいて、生存している親戚のDNAと照合し、御遺骨が家族の元まで帰ることもできるそうだ。

 

 先に紹介したアメリカのJoint POW/MIA Accounting Commandは考古学者や人類学者まで動員した、いわばプロ集団である。

 

 菅政権が発表したと言う日本の遺骨収集活動方針、どのようになっているのであろうか?