やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

青蓮院のトトロの木

京都に滞在するカリフォルニアの友人からメール届いた。

「青蓮院の前の大木の名前知っている?お寺の人に聞いたらkutzuと言われたわ。靴の木、みたいね。トトロの出て来る木みたいだから”トトロの木”と呼んでいるの。」

クツはきっと「楠」だろうと思って調べたらそうだった。友人の想像も大当たりで、トトロに出て来る大木は楠だそうだ。

「ビンゴ!あれはトトロの木よ。クツではなくてクスです。ウィキペディアによれば薬から来ているらしいけど。」

京都東山の青蓮院とその隣に知恩院。実は因縁の関係である。

天台宗の三門跡寺院である青蓮院は皇室との関係が深い。豊臣から徳川の時代に、ほぼ全域を取り上げられ、それが今の知恩院である。

皇室と武家の歴史の大きな流れの一つであろう。が、そこら辺の詳細はまだ知らない。

徳川家康の孫、後水尾天皇に嫁いだ東福門院の存在が青蓮院の運命を定めたようだ。

東福門院の二人の息子は夭折している。殺されたのかもしれない。

13世紀に移植されたという青蓮院のトトロの木ー楠は時代に翻弄された人々の姿をじっと見つめていたに違いない。

青蓮院と知恩院のちょうど境に花園天皇陵がひっそりとある。土日は門が閉ざされており、観光客お断り、という暗黙のメッセージのようにも思える。一度入らせていただいた事があるが、領地を奪われた皇室の怨霊が蠢いているような気がして再度訪れたいと思わなかった。

知恩院法然上人800年大遠忌を迎え、大規模な改築が行われている。

他方青蓮院は楠に護られひっそりとしている。

ところで、知恩院の石段は映画「ラストサムライ」でトムクルーズ明治天皇に会いに行くシーンに使われている。これは隠されたメッセージ?皮肉?それとも単なる無知?