海外での学会を控え手元にあったこの本をじっくり読むことはできなかったが、先日京都の大原散策に持って行った。三千院の隅で山から流れる涼しい風を受けながら読むことができた。
誰かが、江崎さんの本を読むと色々と気づかされることが多く、考えが広がっていく、と書いている人がいたが私もそうなのだ。読み終えて3点ほど色々と考えている。
一つ目が福沢諭吉の「帝室論」。これ読むつもりはなかったのだが、どうやらローレンツ・フォン・シュタインの王権論じゃあないかという勘がした。福沢とシュタイン、手紙のやり取りをしている。しかもシュタインに金子堅太郎は明治12年に会っている。福澤が帝室論を書いたのは明治15年。シュタインの王権論もざっとしか読んでいない。両方をじっくり読んで比較すれば関連性がわかるかもしれない。何しろ明治天皇がわざわざ名代をウィーンまで派遣してシュタインを教えを請うたのだ。
2つ目が皇室外交のこと。私は20−30代、内閣府青少年事業の関連組織の幹部であったため皇室外交の一翼に関わる機会があった。天皇陛下(当時は皇太子)の結婚の儀も招かれ、平日の昼間の行事であったため財団に知れ渡る事となり「何で笹川良一会長が呼ばれないのお前が呼ばれるんだ!」と幹部から怒鳴られその後イジメの要因になった。
私が参加したのは昭和、平成の皇太子殿下の御成婚記念事業と「明治百年事業」。当時の天皇皇后両陛下の前でトンガ王国の国歌を歌ったことなどもある。(音大出の私が日本青年に指導しました。)
3つ目が沖縄。私は90年代八重山諸島を中心に「やしの実大学」という事業を一人で展開してきた。笹川平和財団はこういう泥臭い事業は嫌いで早く止めるよういつもプレッシャーがあったが、島の文化や歴史を学ぶことはあらゆる事業の原点であることを私は知っていたので頑張って10年ほど続けたのだ。FBなどで沖縄への自衛隊展開の記事に接するたびに島の文化歴史を尊重することをコメントしていたが、その度に江崎さんからイイねをもらっていた。江崎さんは皇室の開発哲学(これが神道だと思う)をご存知だったのだ。
福沢の帝室論、そしてシュタインの王権論、さらに金子堅太郎のシュタインのメモなど同志社大学の図書館にあったのを借りてきたので、時間があればまとめてみたい。