やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

グアムの政治的地位

出張を目の前にして、ゆっくり資料を読んで書く時間がないため、ざっとだがメモしておきたい。

無差別殺人のあったグアム、沖縄の米軍が移ろうとしているグアム。そのグアムはどこの国か。

答えは”一応”アメリカだが、グアムは未だ国連の非自治地域にリストされている。

即ちその政治的地位は確定したものではない。正式な米国ではないのだ。

独立の可能性も全く否定できないし、どこかと自由連合を組む可能性もある。

どうせ米国は地球の裏側の小さな島に軍事とオフィショア金融以外のなんの関心も示さないのだ。

だから、個人的にはマリアナ諸島共々、日本と自由連合を締結したらどうか、と考えている。

現在非自治地域は16ある。下記のリスト参照。

http://www.un.org/en/decolonization/nonselfgovterritories.shtml

それでなぜグアムが米領か、というと米西戦争でスペインが負けたからです。

その時スペインはにっくきアメリカではなく、ドイツに隣のマリアナを安く売り渡している。それでWWIの後にミクロネシアの島々とマリアナが日本の委任統治領となった。

ご存知とは思うが、ドイツと戦う事になったチャーチルは赤道以北の独領は日本にあげるから、という密約を示し参戦を要請したのだ。

で、なぜグアムがスペイン領だったのか、というとトリデシャス条約まで遡る。

まだ地球が平らだと信じられていた頃、スペインとポルトガルが大西洋に南北に線を引き地球を二分した。ところがマゼランが地球が丸い事を証明してしまったから大変。線は一つでは足りない。

”2つ”必要! 

そこでパプアニューギニアの北にある当時の紛争地帯スパイシーアイランズで線を引いた。これがサラゴサ条約。この線は日本も南北に縦断している!1529年というから日本は室町時代。20年後の1549年にはフランシスコ・ザビエルが日本上陸!

サラゴサ条約ー米国の鳥のウンチ法(グアノ島法)に勝るとも劣らないトンデモ条約!

スペインのグアム領有権の正当性は、スペインとポルトガル教皇が勝手に決めたこの条約にある。

それではグアムに独立の動きはあるのか?

嘗てグアム先住民チャモロ独立運動の先頭に立っていたアンダーウッド博士は、(投票権のない)連邦下院議員に選ばれワシントンで10年を過ごして帰って来たが、独立の話はしなくなった、と誰もが口を揃える。

グアムのような島は、独立をしてやっていくだけの経済力も軍事力もない。海洋資源の開発運営にもお金がかかる。

ミクロネシア3国を見ればわかる。

今度お会いしたら日本との自由連合を提案してみようと思う。

自由連合の事ももう一度書きたい。国連で認められた非植民地化の3つの選択の一つが「自由連合」。米国とミクロネシア3国が現在締結している「自由連合」は、ニュージーランドが国連に提案した「元祖自由連合」とは全く違う性格になっている。