『日本帝国と委任統治』南洋群島をめぐる国際政治1914-1946
は以前より気になっていた資料である。
この本の基本構想が以前ご紹介した『南洋群島と帝国・国際秩序』浅野豊美編集 の一章に納められている。
第一世界大戦後、日本がミクロネシアにどのうように関わってきたのかは、今後日本が同地域にどのように関わっていくべきを検討する時、非常に大事な歴史である。
しかし、等松氏も指摘しているようにこの分野の研究は少ない。
興味深かったのが以前よりこのブログで取り上げているヤップにつながる海底通信ケーブルに関する詳細な協議内容の記述である。
それから、第2次世界大戦中にドイツとの同盟を締結する課程での、南洋群島を巡る協議内容である。今日本人が見向きもしないミクロネシア諸島は当時海軍にとっては戦略的な、海の生命線として確保しておきたいという、ドイツとの同盟を締結する主要な動機であったという箇所である。
それから、一点不思議だったのがドイツ南洋統治史を書いた高岡熊雄氏の資料が参照されていなかった事である。当時の日本の指導者は、新渡戸稲造以下ドイツの政治、学問に傾倒していたはずだから、ドイツの南洋統治は高く評価していたのではないか。
最後に、南洋群島を巡る当時の日米豪の不信感醸成は、今の当該地域の海洋安全保障環境にも見られる。
で、日米豪の一層の情報交換と意見交換をする必要を感じた。
些細な事だが、今日もこれからPPBPに関する情報を豪州王立海軍に送ろうと思う。
2008年から始めた太平洋の海洋安全保障。もうすぐ7年目に突入する。2、3年で交代する豪州王立海軍(どこも同じだが)より自分が知っている事がけっこう増えてきたのだ。