やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

再び、パラオ テキサス

 

テキサス州リック•ペリー前知事、ジョン•ブラッドリーパラオ司法長官

<再び、パラオ テキサス>

以前、パラオとテキサスの関係を自分の勘の範囲でブログに書いたが、来年の大統領選を控えたパラオで、その関係はくっきりと浮かび上がって来た。

ここ数ヶ月繰り広げられている、パラオ法務省を巡る動き。 非常に複雑そうに見える動きを乱暴にまとめると。。 ベルス法務大臣が、日本で言う事務次官レベルの高官とAttorney General(司法長官)を保留処分とした。その前後に大統領が法務大臣を保留処分としている。 次に法務大臣が司法長官を保留処分。司法長官が法務大臣に、撤回しなければ裁判にすると回答した。 この司法長官John Bradley氏がテキサス州出身の、しかも相当な悪徳法律家である話が今月20日のJohn Floydというこれもテキサス州法律家のブログに掲載され、パラオ関係者に広く回覧されているのである。

"John Bradley Dishes Out Texas Justice in the Pristine Paradise of Palau…" http://www.johntfloyd.com/John-bradley-palau

これも乱暴にまとめると、テキサス州の悪徳知事(ブッシュの後任だった知事で今年1月に退任)と悪徳法律家が手を組んで、罪なき人を25年も牢屋にぶち込み、無罪とわかった後でもその悪徳弁護士はたった5日牢屋に入っただけ。死刑になった無罪の人もいるようなのだ。。 この悪徳知事はパラオのレメンゲサウ大統領に頼み込んで(某かの裏取引があったのかも?)このお友達の悪徳弁護士を、2014年にパラオ共和国の司法長官としたのである。

<Stay away - 2016年大統領選を巡るパラオの動き>

 

 

レメンゲサウ大統領とSurangel Whipps Jr.

問題は来年の11月に大統領選を控えるパラオの政情である。 20年来のミクロネシアの友人(政府高官)の一言が頭から離れない。 

Stay away..

何からstay away すべきなのか? 

テキサス州の悪徳知事と悪徳弁護士とベッドを共にした(上記John Floyd氏の記事の表現)我らがレメンゲサウ大統領だ。 レメンゲサウ大統領を巡るネガティブな状況 ー テキサスの悪徳知事、悪徳弁護士との関係以外にも、パラオ国内にも蔓延する。。

まずは、賛否両論だった商業漁業禁止の海洋保護区を相当な裏技で通した事である。 国内水産業を所有する大物達から完璧に敵視されている。既にこの法案を廃止する動きも見える。 そして、これもまた複雑なパラオの政治。。 レメンゲサウ大統領が2012年に再選を果たした背景にはアイライ州の大物政治家Surangel Whippsの後押しがあったからである、という。

なぜSurangel Whippsはレメンゲサウを支援したのか? レメンゲサウ大統領の妹がSurangel Whippsの息子と結婚している。レメンゲサウが一期大統領を務めた後はSurangel Whippsの息子で、レメンゲサウ大統領の義理の弟にあたるSurangel Whipps Jr.に大統領の席を譲る了解で支援したのである。 ところがレメンゲサウ大統領はこの約束を破り二期目の大統領選に立候補を表明。 この話は既にパブリックなっている、というので敢えてこのブログにも書いておく。 2016年の大統領選はレメンゲサウとSurangel Whipps Jr.の一騎打ちと、もう既になっているのである。 こちらにその意思がなくても、あらゆる動きをパラオは利用するであろう。

だから、stay away ... なのだ。

 
政治は全てを利用する。すべては政治利用される。政治は残酷で冷酷。
「そうだ・・・この世界は・・・残酷なんだ。 そしてとても美しい・・・」