やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

ミクロネシア連邦 自由連合破棄の動き(3)

米国との自由連合協定破棄決議案を提出した一人、チュック州出身のSenator Robson Romolowと、同じチュック州出身で、米国居住のブロガーVidalino “Vid” Raatior氏のやり取りが興味深い。

 

"Congressman Romolow responds to Compact termination Resolution Questions"

http://www.vid.raatior.com/congressman-romolow-responds-to-compact-termination-resolution-questions/

 

 

両者のやりとりをまとめると。。

 

自由連合協定を破棄してその後どうするの?そんな事公約にあげていなかったじゃないか?とブログで非難するRaatior氏にSenator Robson RomolowがEmailとFacebookで応酬した。

 

議会のシステムを全然わかっていないじゃあないか。決議案を提出したって事は即自由連合協定破棄っていう意味じゃないんだよ。事前の協議が十分あった結果である、とSenator Robson。

 

今回提出された決議案は2011年に、議員だった現大統領のピーター•クリスチャンが提出した内容とほぼ同じである。よって、大統領とも事前の協議があったのかもしれない。

 

Senator Robson Romolowは、米国からの資金援助が7年後の2023年に切れるというのに、しかもFSMの事情おかまいなしで、全く米国から一方的な判断で切れる、というのに誰も声を上げないのはおかしいではないか、と結んでいる。

 

 

Raatior氏とSenator Robsonのやり取りに対する外野からのコメントは、今回の決議案を非難する、即ちRaatior氏を支持する内容が多いが、米国のからの資金援助が切れる2023年以降どうするのか?といSenator Robsonと同じ意見もある。

先日本案件と関わりのある、ミクロネシアのある高官と話をする機会があった。

クック諸島とニュージーランドの自由連合協定はたった3頁です。米国との自由連合協定は、ミクロネシア諸国のあらゆる自由を奪っている。クック諸島の地政学的ポジションと、ミクロネシア諸国は大きく違う。それに冷戦下での協定であったから違うのは当たり前。にしても、世界秩序が変わった今何の対応もしないのは疑問である。

 

今回の自由連合破棄決議案は、自由連合とは何かという基本的な問題を真剣に協議するきっかけ作りなのではないだろうか?問題はこの地域に責任を持つべき立場の米国が、特に連邦議員がこの問題を真剣に考えていない事である。

 

ミクロネシアの安全保障。米国にとっては地球の裏側の話である。

日本にとっては隣の話だ。

決して対岸の火事ではない。

日本が動く必要があるのではないか?