3月の欧州訪問3週間は多くを学ばさせていただく機会であった。(プライベート旅行です)
現場で感じたのが欧州を悩ます「難民」問題だ。
世界に植民地を展開した欧州が、今難民に植民される欧州となった。
エジンバラ、ダブリン、パリ。どこでも見かけた路上の乞食。
地元の人に聞いたところ、以前よりいたが難民を受け入れる事で数は増えた、という。
欧州を旅立つ直前にEUとトルコの間で難民問題解決策が妥協された。同時にベルギーに隠れていたテロ犯人逮捕。そして一昨日のベルギーでのテロ事件である。
欧州はいったいどうなるのであろうか?
<格差の問題>
タックスヘブンを勉強する時に最初に参考にしたのが橘玲さんの本。
今でも、時々同氏の言論を追っている。
橘さんのブログに昨年のパリに関する興味深い記事があった。
過激派テロ組織ISISの戦士を生み出したフランスの「国内問題」
2015年4月24日
http://www.tachibana-akira.com/2015/04/6822
フランスで差別され、隔離された移民の子供達が未来に希望を持てずにISに入っていく。
パリの出張から戻るニューカレドニアの友人と東京でおち合い、全く同じ話を聞かされた。
貧しい人は貧しいまま。
フランスの格差は最低賃金と最高賃金の間に1500倍の格差があるそうだ。
<難民問題>
友人は面白い話を聞かせてくれた。
欧州が難民受け入れを決定した時、フランス領であるニューカレドニアの先住民カナクが、難民入れ拒否をいち早く、明確に、表明したという。
先住民カナクの反応は、お隣豪州が、難民をナウルや、パプアニューギニアの離島に押し付けている様子を見ての反応だったのかもしれない。
私「パリは、欧州は太平洋どころじゃあないわね。」
友人「そうなんだよ。フランス政府の対太平洋政策は揺れ動いている。少なくとも言えるのは島の人々の幸せには関心はないね。関心は広大なEEZ。資源さ。フランスの政策はナポレンの時から明確だ。国益あるのみ。」
私「その態度が難民を、テロを作ったんじゃあないの。」
<欧州に後藤新平を新渡戸稲造を>
「植民」について、後藤新平、新渡戸稲造、矢内原忠雄を中心に1年位、独学で学んで来た。
少しは話せる様になった。
「日本の植民は、現地人の衛生と教育を重視してきたんです。結果ミクロネシアも現地の人々の人口は増えています。」
証拠は?と聞かれたら矢内原忠雄を示せる。
搾取しない「植民」。現地の文化歴史を尊重する「植民」即ち、後藤新平の「鯛ヒラメ理論」。
(ヒラメの目を鯛に移植しても鯛の様にならない、という話。)
後藤新平や新渡戸稲造を欧州に紹介するのは非常に重要ではないか、と思った。日本の「植民学」は矢内原忠雄が完成させ、戦後は国際政治経済学、開発学として、少なくともその精神は引き継がれているはずなのだ。
三輪公忠著『日本・1945年の視点』(東京大学出版会、1986年)にあったので、これも近々まとめたい。