やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

岩波講座 近代日本と植民地4 統合と支配の論理

本を返さなければならなくなったので、先にメモだけ。

 

岩波講座 近代日本と植民地4 統合と支配の論理

(大江 志乃夫,浅田 喬二,三谷 太一郎,後藤 乾一,小林 英夫,高崎 宗司,若林 正丈,川村 湊 編集委員)2005年

 

この本の中に新渡戸稲造、矢内原が結構出て来る。

この岩波講座シリーズは、4巻しかまだ見ていないので、他の巻にも出ているのかもしれない。

 

まずは矢内原研究、特に南洋群島研究の第一人者であろう今泉裕美子氏の「南洋群島委任統治政策の形成」

 

それから、以前目が点になった、と紹介した北岡伸一氏の「新渡戸稲造における帝国主義と国際主義」

 

矢内原忠雄の弟子、村上勝彦氏の「矢内原忠雄における植民論と植民政策」

これは数少ない、アダム•スミスの事が触れられている論文だが、スミスが全然掘り下げられていないのは残念。

 

それから金子文夫氏による「戦後日本植民研究史」に南洋群島が2頁位だか取り上げられている。

 

こうして見ると新渡戸、矢内原の植民研究を対象とした研究論文は結構あるようだ。

ただ気になるのはこれらの研究の理論枠組み、即ちポジションである。

誰もアダム•スミスの植民論を論じていないようなのだ。これなくして、新渡戸、矢内原の植民研究は議論できないハズ、なのだが。。。