<中尾ADB総裁のパラオへのコミットメント>
パラオ訪問中の中尾ADB総裁が昨日パラオ議会で演説。水道、衛生、ICT支援を基盤とした観光開発と公共サービスの改善を強調した。
中尾総裁はパラオが2015年には9%強の経済成長率を記録したが、2016年には3%であった事を指摘。これは急激に増加した中国からの観光収入が政府の方針で減った事が原因だが、インフラの整備で2017年には再び成長率が増える事を期待する、とも述べている。
観光に関してはhigher-value tourismを支援すると述べている。
ADB President Reiterates Commitment to Palau Development
News Release | 11 August 2016
http://www.adb.org/news/adb-president-reiterates-commitment-palau-development
<パラオのADB参加を支援した私>
パラオがADBのメンバーになったのが2003年。
この動きに私が絡んでいる。私しか知らない話。
2001年、PECC日本委員会が太平洋島嶼国の支援を模索していた。当方はPECC日本委員主査であった渡辺昭夫先生からの依頼で助け舟を出した。
2001年11月のPECC香港会議にパラオの当時大統領補佐官だったクアルテイ閣下を招聘。閣下は香港の後マニラに飛んでADBの動きを確認し、メンバーとなることを決めたのだ。
当時PECC, ADBに持ちかけた案件は勿論ICTだが、どちらも関心がなかった。(理解できなかったのだと思う。島の小さなマーケットで競争原理が機能する事が証明されたのは2008年頃だ。)
あれから15年。こうやってADBがICTも含め本格支援に乗り出すのを見る事になろうとは。。
下記のABCニュースでは、中尾総裁がペリリューに行く事が述べられている。
ADB総裁がパラオの地を訪ねるのは始めての事だそうだ。
Asian Development Bank President visiting Palau for the first time
http://www.abc.net.au/news/2016-08-11/asian-development-bank-president-visiting-palau/7720940
<追記>
書いていたら色々思い出した。
2001年外務省外郭団体の日本国際問題研究所内にあったPECCは電事連の影響を強く受けていた。東京電力相談役の平岩外四氏が同研究所の会長(1999.7~2007.5)の時期でもあった。私がやり取りしていた担当者は電力会社からの出向だった。だから太平洋島嶼国のABCから教えなければならなかった。
そして当時の電力会社の太平洋島嶼国への関心はプルトニウム輸送対策であった。外務省が1997年から主催している太平洋島サミットもそうだ。2011年の震災で日本の対太平洋島嶼国支援政策から電事連の影響が弱まった。
ADBの方はどうであろう?島嶼国への関心の背景にはBRICSや中国の擡頭があげられるだろう。
それまでは太平洋島嶼国への関心は薄かったという印象だ。特に中国のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の動きはADBに刺激を与えたようだ。日本の財務省が太平洋島嶼国に真剣に取り組むのであれば応援したい。
若き財務官僚大平正芳氏が南洋を担当して以来なのではないだろうか?期待したい。