やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

BBNJとは何か?太平洋島嶼国の議論(1)

BBNJに太平洋島嶼国がどのように関わっているのか?

ウェッブサーフィンで見つけたテクニカルレポート。

"The Pacific Islands and Biodiversity Beyond National Jurisdiction: Briefing note of the Council of Regional Organisations in the Pacific members of the Marine Sector Working Group" December 2014

2014年12月発行の報告書で、法的拘束力ある文書(BBNJ 条約)を作成することを決議した2015年6月19日以前の内容である。

誰が作成したのか?

The Marine Sector Working Group - MSWGという、興味深い存在である。

太平洋島嶼国の海洋に関係のある地域機関、PIF, SPC, SPREP, FFA, USPと国連機関、ドナー機関、市民団体をつなぐものとして形成されたとのこと。

しかし実際にに書いているのはHugh Govan博士。スコットランドで海洋生物学分野の学士、博士を取っている。現在はフィジー在住らしいが英国人であろう。そしてコンサベーションインターナショナル。米国の国際環境NGOである。資金は豪州政府が出している。

全部で20頁程の報告書の内10頁が上記の地域組織が作成した報告書。

残り10頁の重要と思われる内容は、西洋人が書いていいる、ということであろう。太平洋島嶼国では珍しい話ではない。

この報告書は域内の地域機関の幹部、そして太平洋島嶼国の政策決定者に情報とアドバイスを提供する事を目的としている、とある。もし本当にそうであれば重要な報告書であろう。

BBNJが重要なのはUNCLOSの「第3の実施協定」である事。

第一、第二は?と探していたら第一は深海底に関するもので、なんとフィジーが当初単独提案国だったのそうである。川上壮一郎氏のペーパー「1982年12月10日の海洋法に関する国際連合条約第11部を実施する1994年の協定についての概観(2) -とくにエンタープライズを中心に-」も同時に読んでいる。フィジーは駒であったのではないか?背景にオーストラリアかニュージーランドがいたのではないだろうか?もしかしたらBBNJ交渉も太平洋島嶼国は駒として、しかも国際環境NGOの駒として利用されているのではないだろうか? そんな予感がする。

この報告書内容を何回かにわけてブログに書きたい。