やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

Island Chain Strategy ー 列島戦略

議連の勉強会。

始めて講演させていただいたが議員からの質問が、量・質共にすごいのだ。

で、この数週間、次の講演会に向けてスゴイ勢いで情報を自分の頭にインプットしている。

書く事によって忘れない、という事をこのブログで学んだのでインプットした事を書いている。

さて、今回はIsland Chain Strategy!

中国の第一、第二列島線の話だ。

起源はダレスにあるとか、色々出て来たので2つペーパーを読んだ。

Hiroyuki Umetsu, "Communist China’s entry into the Korean hostilities and a US proposal for a collective security arrangement in the Pacific offshore island chain." Journal of Northeast Asian Studies (1996) 15#2 pp: 98-118

ダレスの言う列島線は日本ー琉球ーフィリピンーインドネシアを結ぶPacific Pact構想の一環。

そう朝鮮戦争に備えた戦略だったのだ。

このペーパーにはないが、インドネシアパプアニューギニア、豪州、ニュージーランド、米領サモア、ハワイもダレスが考える列島線だったのではないだろうか。

Umetsu氏のペーパーは1950年ー51年のダレスの動きを克明に追っていて小説を読むようだった。

しかしこのダレスのPacific Pact案は吉田茂と、英国政府に簡単に否定されてしまう。が結果として、ANZUS同盟(米豪NZ)と米・フィリピン防衛協定が締結された。

もう一つはJames R. Holmes氏の下記のペーパー。

米国にとっての列島線は太平洋に東西に延びる、米国本土と太平洋を結ぶ、ハワイ、ミクロネシア諸島をつなぐ線なのだ。

そうだよね。そうだったよね。だから日本と戦争したんですよね。

"Island Chains Everywhere

Some Chinese strategists see Hawaii as Asia’s ‘third island chain.’ What does this view say about US-China ties?"

By James R. Holmes

February 16, 2011

ニュージーランド、オーストラリア、カナダの植民経営をする英国にとってこれらを結ぶ飛行機、船、通信ルートを確保する事が重要であった。しかも英国は独占を守っていた。

戦前は、船の燃料や食糧補給、通信ケーブルの電気補給で太平洋の小さな島々は重要だったのだ。

それが技術は進んで立ち寄る必要もなくなった。

しかし、今はこの小さな島が条件によっては広大なEEZと大陸棚の権益を産んでいる。

そして一帯一路構想を持つ中国にとって、太平洋の孤島は戦略的に重要な場所なのだ。