やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

パラオヤップを結ぶ海底通信ケーブル

笹川平和財団の前会長、羽生次郎さんは思った事をそのまま口される方だったようだ。

会長室での吊し上げ、という貴重な経験もしたが、最初にお会いした早々

「あんたのやっている情報通信事業は財団のみんなが訳のわからない事やっている、と評判悪いよ。」と教えてくれた。

(ん。わからないと思う。ITのこと誰も知らないもん。)と思ったが黙っていた。

羽生さんとマーシャル諸島に出張した時だ。

「情報と教育、これぞ太平洋島嶼国に必要なこと。島嶼国基金は王道をやっていたんじゃないか!」

(ん。さすが東大出て審議官になっただけある。)と思ったがニコニコしながら聞いていた。

 

財団のみなさんが「訳のわからない事」と言っていた情報通信事業の成果が下記のパラオ大統領府から出たニュースである。パラオ、ヤップを海底通信ケーブルが敷設されたのである。

私の成果だけれど誰も理解できないであろうから書いておきたい。

 

私は何をしたのか?ー 情報通信制度、政策改革だ。

 

情報通信環境を変えるのは通信ケーブルでもコンテンツでもなく、制度、ポリシーなのである。

しかし、財団の幹部でこれを理解したのは当時一人しかいなかった。日本開発銀行から出向されていた河野善彦さんだけであった。

 

「制度改革」もしくは「政策改革」。こそが当時の開発サークルの主要テーマで、今も変わっていないと思う。しかし残念ながら財団でこれを理解していた河野さんはいつの間にかお辞めになり、私が立ち上げた事業も中途半端で終了。その後は個人的にフォローし、具体的にアドバイスをしたりして支援は継続した。これを一つ目の博論のテーマにしたのである。