<千葉と紀州>
生まれ育った千葉の地名が和歌山や徳島あたりと同じなので、祖先はあっちか、と思っていた。
しかし、東海大学医学部の中島功教授から「あれは外から来た人を騙すために違う地名を付けたんだよ。」と説明いただいた。千葉の名士でもある中島教授の言葉を長年(20年近く)信じていた。
太平洋の海洋問題を扱うようになって、自分のDNAとは関係ないだろうか?などと時々思ったりした。祖先には千葉の登戸で善の丸という回船問屋を営んでいたらしい。
『海の民のハワイ』には紀州出身の漁民が千葉の漁場を発展させた歴史も綴られている。千葉だけではない。サハリンまで行っていたのだ。彼らはロシアの南下に備え武士として国防を担う事になる。
小川教授によると、農家と違って漁師は文字で記録に残す習慣がないのでデータが限られているようだ。
しかし長年疑問であった千葉の地名。そして私のルーツは海人にあるのかも?と思うとワクワクしてくる。
<漁業に必要なのはマーケット>
さて、小川教授は今の太平洋島嶼国の海洋政策にも関連する重要な指摘をしている。
当たり前なんだがなぜか世銀や太平洋島嶼国の人々は気づかない。
紀州が漁業で栄えたのは、奈良、京都と大きな市場があったからだ。孤島では漁業は発展しない。
(以上、30ー34頁参照)
ハワイで、ミクロネシアで漁業が一気に興隆したのは、何万と言う日本人移民のマーケットがあったからだ。ミクロネシアは鰹節を日本に輸出していた。
<まやかしのブルーエコノミー>
世銀、FFA、PIF, PNAと言った「漁業を知らない」国際機関にこの事は伝える必要がある。
ツナノミクス、だの、ブルーエコノミーと言っても十分なマーケットが島にはないのだ。
ニュージーランドで成功している水産業は日本のニッスイが海外マーケットを持っているから!
ソロモン諸島で閉鎖した大洋漁業が成功したのも日本と言う海外市場を持っていたから。日本企業を追い出した結果マーケットも失ったのだ。
今、太平洋島嶼国は海洋で経済を立て直そうと努力している。
これは日本が早々にアドバイスした方がよい。そうしないと漁業を全く知らない世銀とかアジ銀が間違ったアドバイスをし、これも水産資源管理をしない、知らない中国企業が入っている。
もしくは、キリバスやパラオのように海洋資源管理ちほぼ関係のないメガ海洋保護区を制定するなど、海洋法条約を無視した行動が出て来る。
『海の民のハワイ』
水産庁、外務省大洋州課、そして水産庁叩きしか能のないイエロージャーナリズムやイエローNGOに皆さんの必読書です。