やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

示談金ふっかけが止まらない太平洋島嶼国の取締

ソロモン諸島でのベトナム違法漁船取締のニュース。

Solomons' govt yet to destroy last seized fishing boat

https://www.radionz.co.nz/international/pacific-news/347887/solomons-govt-yet-to-destroy-last-seized-fishing-boat

船長に5億円。関係者に1.5億円の罰金(示談金ではないか)とあるがこれは他のケースにも影響して来るので問題がある、と思う。

この「示談金ふっかけ」拿捕はミクロネシア連邦政府が日本のカツオ漁船に仕掛けたのがはじめ。

これで島嶼国政府が違法漁船取締が金になる、と勘違い始めた。

示談金の相場は数千万円のところ一気に億単位を要求してきた。

笹川平和財団に出向していた国交省、海保の職員はこの問題が理解できず逆に「示談金ふかっけ拿捕ビジネス」を支援した、という恐ろしい話がある。この尻拭いを東方がする羽目になり、国交省の海洋音痴がわかったわけだが。。

ところで

ベトナム漁船は払えないと思う。

そうすると、拿捕されて日本から親会社が飛んできて億単位を言い値で払う日本漁船ばかりがターゲットにされるであろう。即ち本当の違法操業取り締まりはされず、水産資源管理はできないわけだ。

<参考>

関連するのが海洋法条約73条のはず。ちゃんと勉強していないので確証はありませんが。 船を燃やすことが妥当なのかどうかも疑問の思っています。

第73条 沿岸国の法令の執行

1 沿岸国は、排他的経済水域において生物資源を探査し、開発し、保有し及び管理するための主権的権利を行使するに当たり、この条約に従って制定する法令の遵守を確保するために必要な措置(乗船、検査、拿捕及び司法上の手続を含む。)をとることができる。

2 拿捕された船舶及びその乗組員は、合理的な保証金の支払又は合理的な他の保証の提供の後に速やかに釈放される。

3 排他的経済水域における漁業に関する法令に対する違反について沿岸国が科する罰には、関係国の別段の合意がない限り拘禁を含めてはならず、また、その他のいかなる形態の身体刑も含めてはならない。

4 沿岸国は、外国船舶を拿捕し又は抑留した場合には、とられた措置及びその後科した罰について、適当な経路を通じて旗国に速やかに通報する。