南洋群島の研究を執筆された矢内原忠雄の事を私は本来もっと前から勉強しておくべきだったのだが、わかりずらい文章と帝国主義、植民地主義プンプンでそれらの主義が何かもわからず偏見で捉えていた、20代、30代の私は一向に関心が持てなかった。
引き込まれて行ったきっかけは、2008年に私が立ち上げたミクロネシア海上保安事業だ。一機に「安全保障」という国家の根幹に手を突っ込むことになる。そうすると日本との歴史的関係は重要で矢内原を手にとったのだ。
同時に一つ目の博士論文の理論枠組みにアマルティア・センの開発学を応用する事としたので、センが議論しているアダム・スミスの開発論を知る事となった。スミスも国富論で植民を議論しており、なんと日本の植民政策、即ち新渡戸と矢内原はスミスの理論を高く評価している。東大にスミス蔵書があるのは新渡戸が買い集めたからである。
ミクロネシアを発端に矢内原ー新渡戸ー後藤新平と繋がってしまった。
今書いている博論は海洋法と太平洋島嶼国を扱うが小島嶼国の成立根拠である自決権に関連して矢内原の委任統治の論文をぜひ参照したいと思っている。
手元には矢内原全集の植民政策を扱った1巻から5巻までがある。
話が変わるが、満州事変を巡る国際法学者の議論を少し知りたくなって京大1回生の報告書など読んで、のめり込みそうになっている。
満州事変。矢内原が議論していないわけないし、その批判的内容のせいで矢内原は1937年東大を追われたのだ。多分同じ新渡戸の生徒であった近衛文麿によって。。
今自分の前には坂元先生から執筆の許可がでた開発と国際法に関する論文執筆がある。よって矢内原の満州事変議論はリストだけ作って宿題にしておきたい。
第一巻
「植民政策の新基調」
米国の日本移民排斥に就いて(ここに支那人排斥がある。満州問題と直接関係がないかもしれないが、読んでみたい)
第二巻
満州問題 1932ー1933年の東大経済学部の講義を元に書かれている。
第三巻
帝国主義研究 ー 支那問題の所在(最後の節、昭和12年2月中央公論)
第四巻
論文上 に英国の植民研究が8本入っている。満州の事も出て来ると思う。
第五巻
論文下
満州国承認 その前後の5本も満州関係であろう
書評
満蒙人口問題に関する資料 二
リットン報告 附属経済文書