矢内原は戦後昭和48年、一度追われた東大に戻るにあたり戦前の論文をまとめた「帝国主義研究」を出版している。私が古書店で1,000円で買ったのは初版本だった。紙はパキパキで読みずらいため、1963年に発行された全集の第4巻に収められている「帝国主義研究」の方を読んでいる。
「南洋群島の研究」を書いた矢内原の存在は知っていたがその難しい文章と、植民に対する自分のネガティブなイメージがあって、長らく関心を持たなかった。そんな自分の意識が180度変わったのが日本の植民政策がアダムスミスを参照していることを一つ目の博論を書いている時に知った時だ。
それから矢内原の全集の最初の5巻(植民研究論文が収められている)と同じく植民政策が入っている新渡戸全集の第4巻だけ手元に購入した。一冊500−1,000円である。
私といっしょに太平洋を何度も縦断、横断しているのでボロボロになっている。
矢内原の植民研究だけに絞って勉強しようとここ数年読んで来たのだが、チャタムハウスに関係する事をきっかけに「帝国主義」が急に気になってこの数日3本の小論を読んでみた。植民と帝国主義は離して議論できないのだ。
そこでこの全集5巻から帝国主義に関する論文を拾ってみたい。