やしの実通信 by Dr Rieko Hayakawa

太平洋を渡り歩いて35年。島と海を国際政治、開発、海洋法の視点で見ていきます。

「東京裁判のレーリング判事のこと」小田滋

パラオのマリリンに「戦犯国家の日本はつべこべ言わずにパラオにどんどん金を出せ」と言われれ、急に東京裁判の事を知りたくなった。まずは上手に反論できなかった自分を反省したのだ。

以前から気になっていた小堀桂一郎教授の『東京裁判日本の弁明』を図書館で検索していたら小田滋教授の「東京裁判のレーリング判事のこと」がリストに出てきた。「回想の法学研究」に収められている4頁の短いエッセイだ。小田教授の意見というより事実が淡々と書かれており、その淡々さが逆に行間を深めているような文章、と私が言うのも痴がましいが、何度も読み返したくなるエッセイであった。

 

小田教授は東京裁判の時、横田教授の戦争犯罪の法理の授業を取りながら、裁判を傍聴していたのである。もちろん横田教授と東京裁判の関係も知っている。

そしてレーリング判事との出会いの文章が続く。

若いレーリング東京裁判の判事に任命されたのは、当時終戦のオランダに人材がいなかった事。インドネシア刑法の専門家であった事。

そして東京裁判の後のレーリングはニューギニア問題でオランダ政府と反対の立場を取り(即ち独立支持だと思う)政府からは距離を置いていた。

最後に小田教授はレーリングが「第二次世界大戦の当時において戦争そのものを犯罪とすることへの本質的な疑問の投げかけがあり、」(303ページ)とその姿勢を書いている。

小田教授の東京裁判に対する意見はどうなのであろうか?多分レーリングに近いのであろう。どこかに小田教授が戦争犯罪、東京裁判の事を書いているかもしれない。